これまで「カプセルホテル」と言えば、男性専用ホテルも多く、女性にとってはなかなか縁がなかった。
カプセル型の狭く小さなベッドは、まさに飲んだあと終電を逃した男性が一晩を越すためだけのものだったかもしない。
しかし昨今、なんとオシャレでスマートなカプセルホテルが登場しているらしい。
わたしはその先駆けでもある「ナインアワーズ」京都店にお邪魔した。
人間は、広い世界のほんの一部で生きている。
全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ……!
ナインアワーズは「1時間のシャワー、7時間の睡眠、1時間の身支度」をコンセプトにしたシンプルなお宿で
2010年にはグッドデザイン賞も受賞している。
入口はガラス戸の光差し込むオープンな空間。
一歩踏み入れれば、白を基調とした洗練された空間が出迎えてくれる。
床に描かれたピクトグラムもかわいく分かりやすい。
受付を済ませると、鍵をもらうことができた。
ほぼ紙。軽量化もここまで極まったか……。
エレベーターは左右で男性用・女子用に分かれていて、それぞれの専用フロアにしか止まらない。
宿にとって大切な安心をビシビシ感じながら、女性専用フロアである2~5Fを探検することにした。
まずは荷物がしまえるロッカールームへ。
清潔なこのホテルには、姑が指です~ってなぞってもホコリひとつ落ちてないだろう(偏見)。
自分の部屋番号のロッカーに、バーコードをぴっとすれば開く。
ハイテクノロジー!
ロッカーは縦に長いので、ロングコートやワンピースを折らずにしまえるところも魅力。
中にはタオルやスリッパ、歯ブラシが備え付けられる。
最近アメニティで別料金を取られることが多い安ホテル界において、手ぶらでも気兼ねなく泊まれるありがたさを感じずにはいられない。
奥へ行けば洗面所、そしてシャワールーム。
いいにおい(大事)のするシャンプーリンスが備わっている。
天然素材を使用したノンシリコンだというから、こだわりの品質だ。
さて、いよいよお部屋へ行こう。エレベーターを降りてドアを開けると、その空間は現れた。
どこの近未来に迷い込んだんでしょう?
わたしは閉所恐怖症で、普通のカプセルホテルの写真を見るとあまりの閉塞感に冷や汗が止まらなくなるのだが
丸みを帯びた宇宙船のようなフォルムに、そんなわたしでさえも「入ってみたい!」という好奇心に駆られる。
わーい!!!
突入だー!!!!
やったー!!! 広すぎて、腹筋だって余裕でできる。
ロールスクリーンを下すとこんな感じ。
マットは東洋紡績株式会社の「プレスエアー(R)」。やさしく包み込んでくれる。
これは……安心するタイプの穴蔵感……!
「朝、他人の目覚ましがうるさいのでは?」と思う人も心配ご無用。
ナインアワーズの目覚ましは、最近話題の光で起こすタイプ。
徐々に明るくなっていって、時間にはスッと起きられるらしい。
一回試してみたかったやつである。他人に迷惑もかけず最高の目覚めを迎えられるなんて画期的だ。
別フロアにはラウンジもあるため、仕事をしたり旅行の計画を立てたりに利用するのもいい。
ナインアワーズ代表取締役の油井さんに、話を聞いた。
「もともとカプセルホテルをデザインしなおそうと思ったわけではなくて、街の中でいつでもトランジット(立ち寄り)できる空間をつくろうと思ったら、効率のよさを活かせるこの形になったんです」
必要なものだけを揃えた、だけどそれに関しては品質を追求する。
その結果がこのシンプルで居心地のよい空間だった。
疲れるまで、街を散策する。
ホテルでサクッと体を休めて、リフレッシュしたらまたちょっと遠くへ……。
「知らない土地に家があるような豊かさ」と油井さんが言うように、
そこには「ホテルでゆったり過ごす」とはまた違うアクティブな贅沢さがあった。
「ナインアワーズ」
https://ninehours.co.jp/
京都、成田空港、仙台、北新宿、ウーマン神田の5店舗。
全店365日、4,900円~