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(イラスト:ちたまロケッツ)

 

『お笑い』→『海外ドラマ』→『マンガ』→『ラジオ』の4ジャンルを週替わりで、そのスペシャリストが“最推し”を指南する『今週の萌えガタリ』。今週は『お笑い』ということで、『オモロー山下』として活動した元芸人で、現在はインタビュアー・ライターとして活動するインタビューマン山下さんが最推し芸人を紹介!

 

【最推し芸人】チャンス大城

 

世間には知られず、主に小さなお笑いライブだけで活動している芸人さんを“地下芸人”といいます。

 

その現役地下芸人界の主がチャンス大城さん(以下・チャンスさん)です。地下への潜伏期間はなんと30年。地下芸人出身の芸人さんを挙げると潜伏期間20年の永野さん、潜伏期間24年のハリウッドザコシショウ。そのはるか上をいく30年というのは、あの綾小路きみまろさんと同じ年数だというから驚きです。

 

そんな地下芸人のチャンスさんには、ここ1カ月で『すべらない話』に出演、とんねるず『みなおか』の「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」では優勝……と、追い風が! 実に15年ぶりだったテレビ出演のきっかけを作ったのが、吉本の養成所・NSCで同期だった千原兄弟でした。

 

養成所時代、チャンスさんはこっそりノートで同期芸人のネタに点数をつけていて、千原兄弟には低く点をつけていたそう。そのノートが偶然せいじさんに見つかり、千原兄弟のトークライブに呼び出しを食らう羽目に。そこで披露したのが、なんと山に埋められたエピソードでした。

 

チャンスさんは地元の怖い先輩に夜中、山奥に連れていかれ、首まで土に埋められ、そのまま放置されていたそうです。しばらくして、たまたま肝試しに来ていたカップルが急接近。助けてもらおうと、彼らに「すいません」と声をかけると、カップルはチャンスさんを生首の幽霊だと思い、「ギャー!」と叫んで逃げていってしまい、助けてもらえなかったそう……。この話が大ウケし、ジュニアさんのプッシュもありテレビ出演につながったのです。

 

チャンスさんのトークは、いじめられていたころの話が多いのですが、不思議と笑えます。この不思議と笑える一番の理由は、チャンスさんからにじみ出る哀愁です。

 

たとえばチャンスさんの埋められた話を若手にされると、いじめられていたときから、まだ時間がそんなにたっていないので生々しくて笑えません。しかし、おじさんが話すと、聞く側はどうしてもおじさんのビジュアルの状態のままで、埋められていた絵を浮かべてしまうのでそのコミカルさに笑ってしまいます。

 

「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」で優勝したネタも、『ザ・ノンフィクション』に出てくる哀愁のあるダメ親父の役で爆笑をかっさらっていました。

 

つまりチャンスさんの持っている哀愁という武器は、加齢を伴ってこそ輝くんです。43歳でようやく注目された理由もここにあります。

 

これからどんどん年を積み重ねていくチャンスさん。彼がこれからスタートさせる地上芸人活動の未来は、明るいに違いないでしょう。

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