家の中で楽しめるエンタメや流行を本誌記者が体験する“おこもりエンタメ”のコーナー。今回は、アルゼンチンが舞台の『永遠に僕のもの』をご紹介します。
■『永遠に僕のもの』Blu-ray&DVD発売中。Blu-ray5,280円、DVD4,180円(ともに税込み)
1971年にブエノスアイレスで実際に起こった凶悪な連続強盗殺人事件。その犯人が逮捕されたとき、人々はその幼さと美しさに驚愕したといいます。17歳の少年カルリートスは、ごく平凡な父母に愛情を持って育てられたのですが、豪邸に入っては盗みを繰り返す日々。
彼にとって盗みは、お金や物欲しさではなく、生きていることを実感する楽しみ。しかし転校先でラモンという同級生に出会い、彼の父親らと強盗を繰り返すうち、銃を手に、やすやすと人を殺すモンスターへと変貌し……。
久々に、ヌーヴェル・ヴァーグをほうふつとさせるカッコいい犯罪映画の再来です。トリュフォー映画に出てきそうな美少年が、ゴダール映画のように無軌道な非日常を、ボニー&クライドのように刹那に疾走します。
原題はスペイン語で「天使」。カルリートスを演じるロレンソ・フェロは、子どものような体形でありながらマリリン・モンローに似た巻き毛と顔立ちで、特に唇のセクシーなことといったら! ダンスシーンもかなりユニークなので必見です。
記者は、カルリートスの母親が息子との接し方に悩むシーンで、母親に心底同情してしまいました。最後までヒリヒリとした緊張感が続き、115分があっという間の傑作です。
「女性自身」2020年2月18日号 掲載
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