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【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第41回>

TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。

 

【今回の相談内容】

結婚して23年。会社員で3歳年上の夫と会話が成立しません。交際していたときは普通に話ができていたのですが、結婚してからというもの夫の口数はどんどん減るばかり……。子どもを挟まないとコミュニケーションが成り立たず、夫婦2人きりなったリビングは真空のように無音の状態で、地獄の時間が続きます。子どもが独立したあとの生活を考えると、今では熟年離婚も選択肢の一つとして真剣に考えるようになりました。これからの暮らしをより良くするために、私はどうすればいいのでしょうか。(52歳・女性・パート)

 

【回答】

真空状態とは一大事ですね。命に係わります。

 

さて、「これからの暮らしをより良くするためにどうすればいいか」とのことですが、まずは、あなたさまにとって「より良い暮らし」とはどういった暮らしなのか、具体的に考えてみようではありませんか。

 

会話が成立しない無音の状態を地獄と感じていらっしゃるのですから、少なくとも今より良くなるためには会話が必要そうですね。して、その会話の内容は何でもOKですか?

 

たとえば、旦那さまが職場のことを一方的に話してくれるとか、旦那さまのご両親やご兄弟についてあれこれ話してくれるとか、旦那さまの趣味や得意分野のこととか。とにかく話をしてくれればいい? あなたさまがそれを興味深く熱心に微笑みながら聞いて相づちを打ってくだされば、きっと会話の絶えない幸せなリビングになりますよ。

 

さあ、他にはどんなビジョンがあるでしょうか。どんどん具体的に「より良い暮らし」のイメージをふくらませてみてください。

 

ところで、あなたさまが思い描く「より良い暮らし」があるように、旦那さまにも旦那さまの思い描く「より良い暮らし」が必ずあります。双方のすり合わせは、済んでいらっしゃいますか。

 

他人は自分の鏡と申します。ご夫婦ならましてやのこと。つまり、相手の態度は自分の態度の“映し”なのです。旦那さまの口数は勝手にどんどん減っていったのではなく、あなたさまが減らさせたという捉え方もできるということです。

 

若いころの情熱は沈静し、子育ても終わってしまって、なんの役割も期待もなくなってしまってからが「その人と一緒にいるかどうか」の正念場のような気がします。相手がひとりの人間として存在していることだけにOKが出せるかどうか。

 

一緒にいたのではお互いにそれぞれの「より良い暮らし」を実現できないことが確定なら、離婚もいいでしょう。反りが合わなくなってしまった人と一緒にいるより、ひとりのほうがずっと「より良い暮らし」を実現しやすいと思いますから。

 

【プロフィール】

玉置妙憂(たまおきみょうゆう)

看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。

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