「ドラマ『未成年』で、浜崎あゆみちゃん演じる女子高生が家庭教師との子供を身ごもったことを知り、『ボクが父親になる』と寄り添うシーンがありました。監督には『おまえが父親なんて考えられないだろ』って言われていたのですが、非公表ながら、プライベートでは子供がいたんですよね」
こう語るのは、河相我聞さん(48)だ。ドラマ撮影当時は、まだ20歳。仕事の中心は歌やドラマだった。
「アイドル的な活動が多かったのですが、やっぱり父親でもあったから仕事内容に抵抗があって……。芸能の仕事を続けていこうか悩んでいました」
そんなときに舞い込んだ仕事が『未成年』だったのだ。
「人気ドラマとなったことで、俳優の仕事が中心に。それで芸能界に残る決意ができました。だから指名してくださった脚本の野島伸司さんは恩人なのですが、当時は恐れ多くて声をかけられる存在ではありません。現場にいらっしゃったときも、離れたところから見ているだけでした」
正反対に、撮影現場で共に時間を過ごした香取慎吾や反町隆史、いしだ壱成らとは、まるで男子校のノリだったという。
「お尻を出すシーンもあったけど、『前バリなんていらねーや』みたいな(笑)。ボクが試験中にうんちを漏らすシーンは、みんなのツボだったのか、本番中に笑いが止まらなくなって、監督に『いい加減にしろ!』って怒鳴られたり」
撮影現場にテレビゲームを持ち込み、出演者同士で『バーチャファイター』という格闘ゲームで対戦したという。
「待ち時間が長かったので、ボクが持ち込んだんじゃないかな。最後に立てこもるシーンでも、男ばかり全員が旅館の同じ部屋に泊まっていました。共演者とは常に一緒だったんです」
一方、女性共演者とはまともにしゃべることができなかった。
「桜井幸子さんは清楚でボクなんかがしゃべっちゃいけないオーラが。浜崎あゆみちゃんは男性グループでは『すごくかわいいよね』と話題になっていました。でも、誰も声をかけられなくて『おまえ、ちょっとしゃべってこいよ』と言い合っていました。そういった意味でも男性共演者は妙な一体感があったんです」
ところが2020年、いしだ壱成が自身のYouTubeチャンネルで、同ドラマの撮影中に芸能界引退を考えていた浜崎あゆみを引き止めたことを告白。
「そんな深い話をしているなんて全然知りませんでした! 壱成くんに抜け駆けされたって感じですね(笑)」
『未成年』(TBS系・1995年)
同年代の若者5人を中心とした青春群像劇。出来のいい兄にコンプレックスを抱く主人公のヒロ(いしだ壱成)、知的障害のあるデク(香取慎吾)、暴力団構成員の五郎(反町隆史)など出演者が豪華! 女優時代の浜崎あゆみを見られる数少ない作品でもある。
【PROFILE】
かあい・がもん
1975年、埼玉県生まれ。1991年、オーディションを経て『天までとどけ』にレギュラー出演、以後多くのドラマで活躍する。また、バンド活動、新聞や雑誌でのエッセイなど多方面で才能を発揮している。