《担任によって学力、存在価値、生きがい、性格etc.私の人生全てを壊された》
2月6日、愛知県一宮市の中3男子が大阪市内の商業ビルから飛び降り自殺した。生徒が友人に託した携帯ゲーム内のメモ機能には「遺言」と題して冒頭の言葉が。学校側は12日に会合を開き、自殺の原因を「担任によるいじめ」と説明。だが翌13日に一転し「担任によるいじめの有無は不明。遺族の気持ちをくみ取っていじめという言葉を使った」と翻した。
今回、Aくんの母親は女性自身で90分にわたりその胸中を語ってくれた。発端はAくんが中学3年生に進級した昨年春。問題の教師が担任を受け持つことになったという。
「最初に担任から電話があった際、応対した主人に何も名乗らずいきなり『本人(Aくん)かお母さんいますか』と言ったそうです。息子も『先生は生徒を叱るときもすごくヒステリックで。その声が教室中に響き渡るほどだった』と言っていました。先生の癖なのか生徒の背中をすぐ触ってくるそうで、『すごくイヤだ』とも言っていましたね。教科書をうつむいて読んでいて、顔を上げたら間近に先生の顔があったという話も聞きました」
そんななか、Aくんの運命を左右する事件が起きる。昨年9月24日の体育祭で組体操をしていたAくんは激しく転倒。その際、両手親指を骨折してしまったのだ。
「息子は学年主任の先生に指の状態を見せたそうですが、スルーされたそうです。息子が帰ってきた後、私は担任に電話で『指を骨折したようなので、病院に連れて行きます。後ほど診断結果をお電話しましょうか』と伝えました。すると『今日は用事があるので』と断られたんです。耳を疑いました。当然、『連絡ください』と言ってくれると思ったのに」
実はその夜に体育祭の打ち上げがあり、担任は飲み会に参加していたというのだ。骨折の診断がされた後、母親は不信感を抱えて学校へ赴いた。体育祭から2日後のことだった。
「教頭先生がいたので『うちの子が体育祭で指を骨折したのを知っていますか?』と尋ねたところ、『えっ、何のことですか?』という返答が返ってきました。担任は、学校内の誰にも事故を報告していなかったんです。もう、信じられませんでした」
治療を続けていたAくんだが、親指は変形してしまう。その間はペンを持つこともままならず、成績も急降下。工業高等専門学校への進学を望んでいたが、厳しい状況に陥った。 しかし母親が問題にしているのは、ケガやその影響による成績不振ではない。
「私たちが何に憤りを感じているか、間違わないでほしい。骨折やペンが持てずに勉強できなかったのは、後から言っても仕方のないこと。担任が打ち上げで飲み会に行ったことも、怒ってはいません。でもケガをした生徒を前に、担任としてすることはいくらでもあったはず。応急処置をするとか、対応した後で飲み会に遅れて参加するとか。でも彼らは何もしてくれなかった。この学校はすべて生徒のことを後回し。それが許せないんです」
今回、本誌は担任の自宅を訪ねた。Aくんの自殺についてどう考えているのかと尋ねたが、彼は玄関越しに「それは第三者委員会で話しますので」と一言。その後も声をかけたが「生活があるので」と言葉を濁すばかりだった。Aくんの母親は、断腸の思いでこう語る。
「今、私は後悔でいっぱいです。息子の命が守られるなら、学校なんか行かせなくてもよかった。むしろ不登校のほうがよかった。そう心から悔やんでいます」