アベノミクスのインフレ政策は、今後上がることが予想される庶民のエンゲル係数をさらに押し上げ、家計を直撃していく――。

 

経済ジャーナリストの荻原博子さんはこう語る。

「小麦・大豆・とうもろこし由来の原料は軒並み価格が上昇します。アメリカの干ばつの影響もまだ続いているうえに、円安の影響で、輸入頼みの品目はさらに値上がりします。ただスーパーや量販店では買い控えを恐れ値上げに踏み切れない事情もあり、値上げするとしてもその幅はおおむね3~5%になると思われます」

 

資源・食糧問題研究所の柴田明夫さんは、小売店の限界をこう説明する。

「激化した価格競争から、個々の企業は正規雇用を非正規に切り替えるなどといった人件費の削減策をしてきました。しかしそれも限界にきている。上げざるをえないのです。パンは4月の政府による小麦売り渡し価格上昇のため10%程度の値上げとなる可能性が高いです」

 

その一方で牛乳や、インスタント麺の価格は横ばいになる可能性が高いという。

「牛乳は飼料代の上昇が転嫁されるとは限りません。インスタント麺は品質向上が進んでいますが、値下げ競争のため価格転嫁はできないと思います」(柴田さん)

 

萩原さんは物価上昇の対抗策を伝授してくれた。

「この物価上昇に耐えるには、より安く、質のよいものを手に入れる工夫をいままで以上にしなければなりません。家族全員が、会社や学校近くの量販店やスーパーといった最寄りのお店でどんな特売品があるかチェックし、帰宅途中で買い求めて帰るくらいの協力は不可欠です」

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