馬券35億円男 自己破産しても巨額税金は一生支払うことに
心躍る有馬記念だというのに、競馬ファンの関心はある裁判の行方に集まっている。大阪の男性会社員A氏が、実際に儲けた金額をはるかに超える巨額の税金の支払いを求められている件だ。1億5千500万円の儲けに対し所得税が6億8千万円、その他課税処分などを合わせると10億円以上になるというのだ。12月10日、第2回公判が大阪地裁でおこなわれた。
弁護士によればA氏は妻子ある会社員で年収は約800万円。市販の競馬ソフトに独自の計算式を加えオリジナルの”必勝システム”を開発し、インターネットで馬券を購入していた。100万円を元手に’05年から’09年の5年間はJRA開催の全レースで総額35億500万円分の馬券を購入。それに対する払い戻しは36億6千万円で、差し引き1億5千500万円のプラスになったという。
普通ならばこの儲け=1億5千500万円に課税すればと思うのだが、国税当局の考えは違う。受けた払い戻しは『一時所得』であり、経費に認められるのは的中した馬券の分のみ。ハズレ馬券は経費として認めない。的中馬券購入額の約1億5千万円のみを経費として、払い戻し総額からそれを引いた約35億円を課税の対象にしたのだ。
だが、これはA氏に限った話ではない。「一般的な競馬ファンにも多額の追徴課税がおこなわれる可能性があります」と警鐘を鳴らすのは、公認会計士の資格を持つ馬券師の丸の内龍太郎氏だ。
「今回A氏が大きく儲けていたから狙われたと思うのは大きな誤解。今の法律がある限り、一度に50万円以上の払い戻しを受けた人なら誰でも、いつ告発されてもおかしくないのです。その人がほかのレースでどれだけ負けていても関係ないんですよ。馬券は勝った瞬間に25%がテラ銭として徴収されています。うち10%は国庫に直接納付されているわけです。にもかかわらず、公然と『二重課税』がおこなわれたのが今回の事件なのです」
しかし、自己破産してしまえば税金から逃れられるのではないか。
(週刊FLASH
12月18日号)