「嫌な予感はしていたんです。検査結果が出るのが遅れたりして。それでも、乳がんの告知を受け、胸を失うと聞いて逃げ出したいほど怖くなりました。私の人生はもう終わりだとさえ思ったんです……」

 

そう言うと、衝撃の瞬間を思い出したのか小林アナさん(31)は視線を落とした。小林さんの経歴は華麗だ。上智大学外国語学部卒業後は地方局のアナウンサーに。その後、お笑い芸人へ転身した変わり種だ。

 

実は、彼女の母親は20年前ほど前に乳がんに倒れた経験を持つ。不幸中の幸いだったのは母親の手術は無事に成功し、現在でも元気に暮らしていることだ。しかし肉親が乳がんに罹患したという事実が、長年彼女の心に暗い影を落とし続けていたという。

 

マンモグラフィーの検査を受けたのは今年の2月8日。同時に医師が直接胸部を確認する触診も行われたが、特にしこりなどは見つからなかった。しかし、それから2週間後、彼女は医師から右胸の一部が石灰化し、それがやや密集しているという診断結果を聞かされる。初期のがんだと告げられた当初、頭の中は驚きでいっぱいになった。さらに、医師の説明を聞くとそれは恐怖に変わった。右胸をすべて切り取ってしまう全摘手術しかないといわれたのだ。

 

「がんに対する恐怖より胸を失うことが、ただただ恐ろしかったんです。女性としても芸人としても、もうやっていけないと思いました」

 

彼女は、母親の乳がんの傷痕を知っているからこその悲しみと恐怖を実感していた。“絶対に胸を失いたくない”、その必死の願いをかなえるための病院探しが始まった。そして、治療先として選んだのが、アンチエイジングのカリスマとしても知られる南雲吉則総院長が率いるナグモクリニックだった。

 

「仕事の関係者に勧めてもらいました。最初にビックリしたのは、患者会の皆さんが元気でキラキラしていることでした。どうして皆さん、こんなに笑顔なんだろうって。そして、もうひとつ驚いたのが、皆さんの再建された胸がとてもきれいだったこと!こんなにぷりぷりしたキレイなバストになれるなら私も手術を受けたい!と思ったんです」

 

ちょうどそのころ、世間ではハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさん(38)が乳がんの予防のために、両胸の予防切除手術を受けたことが大きな話題となっていた。胸は一度失っても取り戻せる、女性らしさを失うことはまったくないのだということを世界中の人たちが知ったのだ。

 

彼女は、「アンジーのニュースを見て、悲観するのをやめました。母からも『日本のアンジーだね』とメールがきて、すごく励まされました」と、たった2カ月前のことだというのに、手術のことをすっかり笑顔で話せるようになっている。

 

「手術前は、ブラジャーで無理やり作っていたDカップの胸が、今ではノーブラでEカップですよ!パンッと張りのある胸になって、もう垂れる心配もありません。仕事も2カ月休みましたが、最近は、あまりに私が元気なので周囲が気を使ってくれなくなりましたね。私、がんの手術をしたばっかりなのに!(笑)」

 

和製アンジーは、屈託のない笑顔を見せてくれた。

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