今年1月、小学生女児が連れ去られる事件が相次いだ。連続する児童連れ去り事件。犯人たちの手口はますます巧妙になっている。警察庁では、実際に起こった連れ去り事件の概要をまとめた「子どもを対象とする略取誘拐事案の発生状況の概要」を発表している。

 

「警察庁の発表によると、連れ去りの犯行時間帯は午後3〜6時が約半数。そのほとんどはひとりで外にいるときに発生します。集団下校時ではなく、そこから離れ、ひとりになったとき、または家からひとりで近所に外出したときが危ない」

 

そう話すのは、子供や女性の防犯対策に詳しい専門家、安全生活アドバイザーの佐伯幸子さん。愛する子供を守るため、実際に起きた事件の傾向を分析し、対策は立てておきたいもの。そこで、佐伯さんが「子どもを対象とする略取誘拐事案の発生状況の概要」を元に、子供に教えておきたい“連れ去りを防ぐ”5カ条を教えてくれた。

 

【1】友達といっしょでも常に「背後」に注意を払う。最近は疲れてうつむきがちな子供が多いので注意。

 

【2】車の2メートル以内に近づかないこと。ワンボックス車のスライドドアからキャッチされる可能性も。

 

【3】「ちょっと」と声をかけられたら、まず身構える。この言葉は油断させる目的で頻繁に使われる。

 

【4】ひとりのときは常に小走りで歩くこと。不審者も「急いでいる子供」には声をかけにくい。

 

【5】「欲しいもの」をあげると言われても無視。声がけの具体的事例を子供に覚えさせる。

 

声がけの具体的事例は次のようなもの。

 

「道を教えてくれない?」「いっしょにウチの猫を捜してくれない?」「××のケーキを買ってあげるよ」「サッカーのトレーディングカードがあるけど、欲しくない?」「きみにお金をあげたいので、こっちにおいでよ」「保健所の者だけど、いま悪い病気がはやってるから来て」「警察の者だけど話を聞かせて」「おまえ万引きしただろ!」「きみの背中に虫がついてるよ。取ってあげようか」「お母さんが交通事故に遭ったから、すぐにいっしょに来て」

 

 

「これまでの人生で危険な思いをしたことがない親の子供ほど、じつは危険性が高い。親自身が被害に遭っていないので、気が回らず自己防衛意識が低いからです。『見知らぬ人の言うことは聞いてはいけない』と口先だけで注意しても被害は防げません。もっと具体的に『こう話しかけられることがある』と例を挙げて話すことがいちばん効果的です」(佐伯さん)

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