「今まで将来のためにと貯めたお金は、今が使いどきです」と語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。今の高齢者に限っては、年金も医療も介護も安心。なので、大きな蓄えを守ることより、元気でボケずに楽しく暮らすために、お金を有効に使うことを荻原さんは勧める。では、どんなことにお金を使えばいいのか?そこで、荻原さんがアイデアのいくつかを紹介。

 

【子や孫を誘って旅行する】

「旅行のスポンサーになって、子や孫、親族が集まる機会を作りましょう。年に1度の恒例行事にするなど、リーズナブルにして回数重視。最近は、家庭裁判所に持ち込まれる相談案件の3分の1が相続関係です(’11年司法統計年報による)。親の死後、きょうだいが争う悲しい事態を避けるためにも、日ごろのコミュニケーションが大切です。親族旅行で今から何でも話し合える関係を作りましょう」

 

【ボケないために習い事】

「老後に必要なのは『きょういく(今日、行く所)』と『きょうよう(今日、用がある)』だといいます。定期的に行く場所として、習い事を始めませんか。なかでも、料理教室がオススメです。料理はメニューを考え、買い物に行き、いくつもの作業を同時進行しながら調理します。頭も手先も使いますし、体力も必要ですから、ボケ防止には最適です」

 

【元気を保つプチ農園】

「ベランダや庭先でハーブや野菜を育てたり、ゴーヤで緑のカーテンを作ったり。もっと本格的にしたい方は市民農園を借りる手もあります。毎日、成長を見るため『きょうよう』にもつながるし、収穫物のおすそ分けは近所でも喜ばれるでしょう。太陽のもとで体を動かすことは、明日の元気の源になります。自分で育てた野菜をモリモリ食べて、病気知らずの生活を目指しましょう」

 

【年110万円までの非課税贈与】

「私は、高齢者のお金は自分で使うもの、子供への援助は慎重にと考えています。親がコツコツ貯めたお金も、子供にとっては棚からぼた餅になりかねないからです。とはいえやむを得ないときには、1人につき年間110万円までなら、贈与税はかからず、申告の必要も

ありません。ただし毎年決まった日に一定額を、たとえば100万円を10年間続けて贈与した場合、計画的とみなされ、合算した1千万円に贈与税がかかることもあります。ご注意を」

 

お金は楽しむために使うもの。それが家族の幸せにもつながっていく。

 

「介護のために会社を辞める介護離職者は、年間10万人にのぼります。わが子を介護離職に追い込まないように、元気でボケない生活を心がけましょう」

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