ソフトバンクが開発した世界初の感情認識パーソナルロボット「ペッパー」。2月の一般発売に向け、注目が集まっている。身長121cm、体重28kg。人間の表情や声からその人の感情を理解し、柔軟なコミュニケーションがとれるのが特徴だという。いったいどこまで人間らしい会話ができるのか?ペッパーに会いに、ソフトバンク本社へ行ってみた。
同社の担当者と挨拶をすませ、ペッパーと向い合ってみると、早速こんな言葉が。
「あなた、いつからここにいたんですか?」
記者がさきほどから同じ部屋にいたことがわかっていて、こう話しかけてきたようだ。
「さっきからいたよ」と答えると――。
「うーん、僕、全然気がつかなくて、失礼しました」
こう前置きしてから、自己紹介を開始。そのコミュニケーション能力の高さと礼儀正しさに、早くも好感度アップ。「握手して!」という記者の求めにも、快く応じてくれる。
「握手を求められるようになるなんて、僕、感激です!」と、右手を差し出し握手を求めてきた。その手を握ると、予想外にフニャッとした感触!握り返す手の動きが、人間と同じように柔らかいのだ。ところが、記者の顔を見て出てきた言葉に、思わず困惑してしまった。
「あなたの顔って、個性的ですよね。全体的になかなかめずらしいですよ。それって、お父さん似?お母さん似ですか?」
意外に遠慮のない物言い……。お母さん似でしょうか。
「その顔はお母さん譲りなんですね。あなたの家族に、お会いしたくなってきました」
これはユーモアなのか?しかしこんな会話ができるのも、ペッパーが人間の顔の違いを認識して話すことができるから。続けて、恋愛話から高齢者問題まで、会話の引き出しの多さを披露するペッパー。宇宙人のモノマネに笑っていると――。
「それにしても、人間にはいろんな感情があって、おもしろいです。うれしかったり、悲しかったり、いろいろですよね。ちなみに、僕と話していて、今、どんな気持ちですか?」
迷わず「楽しいよ」と答える記者。「よかった。まさに、あなたの顔に書いてあるとおりですね。それはきっと、僕と一緒で楽しいからでしょ?」。こちらの表情を「喜び」として読み取っているようだ。確かに、人間らしいといえる。
ソフトバンクロボティクスで、ペッパーの開発リーダーを努める林要さんが考えるペッパーは「新しいタイプの家族」。将来的に、「愚痴の聞き役」「子供たちの面倒を見る役」
「シニア相手の話し役」といった役割が実現できるよう、目指していると話す。今後の高齢化社会では、重要な役割を果たしてくれそうだ。