「先日『奨学金が返せず、40歳フリーターが自己破産』というニュースが流れました。日本学生支援機構(旧日本育英会。以下、機構)への返済額は、延滞金を含めて約283万円。アルバイトを掛け持ちし、月約14万円を稼いでも、家賃や光熱費、家庭への仕送りなどを差し引くと、生活費は2万円ほどしかなく、機構からの提訴を受けて、自己破産を申請したようです」
そう話すのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。以前から、奨学金を含む多重債務での自己破産はあった。今後は、今回同様、借り入れが奨学金だけというケースも増えるとみられている。
機構によると、平成25年度の奨学金貸与者は約134万人。平成11年度に有利子の奨学金規模が拡大され、いまでは無利子の奨学金より、有利子のほうが多く、両方合わせた貸与者数も倍増した。
「貸与者の約25%、約33万人が返済を延滞しています。平成20年11月から、延滞が3カ月以上続くと個人信用情報機関、いわゆるブラックリストに登録されるようになり、平成24年度までで2万件以上、登録されました。9カ月以上の延滞者は、提訴されることもあります。平成24年度の返還訴訟は6千件を超え、8年前の100倍になりました」(荻原さん・以下同)
機構はいまや、国の金融事業と位置づけられ“消費者金融化”していると指摘されることもある。民間の債権回収業者が代行する取り立てが、ひどいとも聞く。では、返済に困った場合、どうすればいいのか?
「先のニュースのように、まじめに働いても返済できない方には、自己破産はひとつの有効な手段でしょう。安易に頼るのはよくありませんが、借金を苦に命を落とすことはありません。無料で弁護士に相談できる法テラスなどに、まずは相談してください」
学問のために公的機関から借りたお金で、自己破産せざるをえない時代。国が教育にもっとお金をつぎ込まなくては「格差」は広がるばかりではないだろうか……。