あの日から4年たった今、被災地の人たちは、何を求めているのだろうか――。さまざまな町の人たちの声を紹介する。

 

○宮崎敏子さん(48) 岩手県釜石市――夫とパリから震災後に釜石に移住。豊富で新鮮な三陸の魚介を使った商品開発をしている。

「東北の地方都市は、どこも震災後に急激な人口減に拍車が。雇用を生み、産業を活性化させる新しい人材、アイデアが不足しています。Iターン、Uターンで移り住んでもらえたら」

 

○熊谷真由さん(32) 宮城県南三陸町――町を壊滅させた津波は自宅の2階まで。九死に一生を得て、海産品を紹介する会社で働く。

「神割崎のキャンプ場や海水浴など三陸の美しい自然や海をぜひ満喫してもらい、帰りに少しでも三陸の海の幸をお土産にしてもらえたら。それだけでも、私たちはがんばれます」

 

○村上一憲さん(36) 岩手県陸前高田市――農業&米粉の商品を開発する「ひころいちファーム」を運営。農業の6次産業化をめざす。

「震災で、家、車、畑を失いましたが、地元食材を使って起業するきっかけにも。観光でもいいから足を運んでいただき、頑張っている人たちを見て、東北の食材を堪能してほしい」

 

○高野己保さん(47) 福島県広野市――原発から25キロの「高野医院」事務長。放射能への不安から患者と地域医療を守っている。

「どんな混乱が起こり、何が起こったか、ぜひ来て、知ってください。さらには、それを多くの人に伝えてください。いつまでも福島で頑張っている人たちに寄り添ってほしいです」

 

○佐藤吉郎さん(77) 岩手県陸前高田市――元カキの養殖業。自宅は津波に襲われ跡形もない。2Kの仮設住宅で妻と暮らしている。

「支援は十分していただきました。必要なのは、息子一家と6人でゆっくり暮らせる家。資金も用地も確保できていません。狭くて寒い仮設住宅は、年寄りにはこたえてきました」

 

○根本茂樹さん(53) 福島県楢葉町――震災後、原発避難区域内でスーパーの営業を再開。作業員や一時帰宅の住民を支えている。

「徐々にもどりつつある福島ですが、コミュニティーがなくなったことが悔しい。家族、地域、町がバラバラになってしまった今、人との絆を構築できる人材、知恵などがほしいです」

 

○大久保真貴(32) 宮城県釜石市――臨月のときに震災が。津波から逃れ、避難場所で破水。3・11生まれの次男・真弥君も4歳に。

「公園や空き地がなくなり、子どもの遊び場がありません。県内の子どもの肥満率が高いのも納得。子どもたちの遊び場はもちろん、体を動かすイベントがあるとうれしいです」

 

○天野淑子さん(63) 福島県二本松市――帰還困難区域の浪江町から避難し、仮設住宅に。ボランティアとの交流も盛んに行う。

「役場やボランティア団体などを通して、仮設に住んでいる人の話を聞いてください。被災者は、さまざまな思いを胸に。それを聞いてくれるだけでも少し気持ちが軽くなるのです」

 

○小山光子さん(53) 宮城県気仙沼市――カキ養殖で有名な唐桑町で被災。震災の経験からNPO法人に勤務し、復興に力を注ぐ。

「大きな町の市街地では復興が加速していますが一歩郊外に行けば、いまだ手つかずのところも。復興の進度の遅れている場所は、人手も足りていません。そんな現状を見てほしい」

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