もうすぐ到来する夏のボーナスシーズン。今夏は、平均で過去最高の伸び率を記録した昨年夏よりもさらに3%多くなるという予想も出ている。経済アナリストの森永卓郎さんは、今夏の傾向についてこう語る。
「自動車などを代表とする輸出産業や、銀行や証券などの金融機関は依然として好調です。アベノミクスによる株高や円安の恩恵を受けて業績がアップした結果、ボーナスも増加したのでしょう」
たしかに、営業利益2兆7千505億円と20%アップを果たしたトヨタ自動車のボーナスは127万円(35歳モデル)。さらに役員に支給されるボーナスも大幅アップしており、1人あたりの平均額は昨年より2千300万円も多い年額7千377万円!
反対に苦戦が続くのが電力会社。全ての原発を停止している関西電力は3年連続のゼロ。6月に電気料金を平均8.36%値上げすることを決めたこともあり、「ボーナス復活は利用者の理解を得られない」という判断だった。
「九州電力は30万円ですが、あくまでも住宅ローンの返済などに充てる生活支援という名目で支給されるものです。そのため事実上のボーナスはゼロなんです」(経済誌記者)
前出の森永さんは、大手と中小の企業間の格差は、ますます大きくなっていると話す。
「昨年、500人以上企業の賃金は2%アップしましたが、30人未満の企業は0%。物価が3%アップしたことを考えれば実質的なマイナスです。アベノミクスは『豊かな人がもっと豊かになれば、恩恵が下にも落ちてきて貧しい人も豊かになる』というトリクルダウンを目指しています。でも、これは過去にうまくいったためしがないんです。はっきり言って、格差を拡大させるだけです」
景気がいいのは、一部の大企業だけみたいで……。
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