2016年はザ・アニバーサリーイヤー!? 東京ディズニーシーや『笑点』など錚々たる会社やモノが『周年』を迎える。そこで今回は、めでたい周年企業に直撃。長〜い歴史のなかで培われたノウハウとヒミツを聞いてみた。
【140周年】サッポロビール株式会社
サッポロビールと聞いてイメージするのは、斬新な広告やCM。’70年に三船敏郎を起用した広告は、「男は黙ってサッポロビール」という強烈なコピーで一世を風靡した。世界のミフネの渋すぎる迫力が存分に生かされ、やたらと説得力がある。
「CMが人気になりすぎ、都市伝説まで飛び出しました。サッポロビールの面接で何も答えず無言の学生に、面接官が『なぜずっと黙っているのか?』と聞くと、学生は『男は黙ってサッポロビール』と答え、内定を得たというものです。実話ではないようですが、それほど人気があったということでしょう」(都市伝説に詳しいライター)
’00年には、山崎努と豊川悦司の男同士の熱い戦いを描いた黒ラベルのCMが評判に。第1弾の温泉卓球篇では卓球ブームも起こった。ポスターも印象的だ。C.C.ガールズ(’92年)、武田久美子(‘93年)などセクシー有名人がイメージガールを務めていた時代も。
そんな好感度の高いサッポロビールのスタートは、官営工場「開拓使麦酒醸造所」。1890年に発売されたヱビスビールが人気を博した。
「現在、サッポロビール本社やヱビスビール記念館がある恵比寿ガーデンプレイスには、かつてヱビスビールを造る工場がありました。1901年には、積み卸し専用の恵比寿停車場という駅ができ、各地へと出荷。一般の旅客も取り扱うようになり、1928年に恵比寿という街の名前になりました。商品名が街の名前になるのは稀なケースです」(広報担当者)
【120周年】グンゼ株式会社
1896年、京都府何鹿軍で蚕糸業振興と地域貢献を目的に設立。創業者の波多野鶴吉は「善い人が良い糸をつくり、信用される人が信用される糸を作る」という信念で、工女、職工はもちろん幹部に至るまで平等な教育を行った。
創業の翌年には工女のための夜学授業を開始し、教育に力を入れたことから「表から見れば工場、裏から見れば学校」と言われた。
「パンツのイメージが強い会社ですが、日本で初めて抜糸のいらない縫合糸を事業化したりと、実は医療素材やプラスチックフィルムも作っています」(広報担当者)
長い歴史の裏には時代に合わせて事業を変化させるパイオニア精神があった。
【100周年】明治グループ
日本人ならほぼ皆、明治のお菓子にお世話になっている。旧明治製菓の前身「東京菓子(株)」が1916年に創業し、その後明治製菓(株)の食品部門と明治乳業(株)とが事業統合して(株)明治となった。
1968年に販売を開始した日本初のスナック菓子「カール」には当初キャラクターはいなかった。のちにカール坊やの脇役として登場したカールおじさんがじわじわと人気を集め“下克上”を果たしたのだとか。日本で初めて本格プレーンヨーグルトを発売したのも明治で、1973年におなじみの「明治ブルガリアヨーグルト」に改名。
「(長続きのコツは)食と健康のプロとしてつねに一歩先を行く価値を提案し、お客さまの生活充実に取り組んでいる姿勢を評価していただいたことでしょうか」(広報担当者)
【450周年】西川産業株式会社
ふとんでおなじみの東京西川は、桶狭間の戦いのあと、安土桃山時代の真っただ中に創業している超ご長寿企業。現在、寝装寝具シェアは不動のトップ。さぞ、ふとん販売歴が長いと思いきや、そもそもの主力商品は蚊帳や畳表だった。江戸時代、綿ふとんは現代価格にして600万〜900万円と超高級品。庶民は和紙でできた紙ふとんをかけ、畳の上で寝ていたという(ねむりくらし研究所HPより)。
「それまでふとんは家庭で仕立てるものだったのですが、明治時代にわが社がいち早くふとんの商品化に踏み切りました。当時にしてみれば、ふとんの商品化は斬新で画期的なことだったのです」(広報担当者)
これからも上質なふとんを売り続けてください!