「もうすぐ新年度が始まります。決意も新たに、『お金をためよう』『ためなきゃ』という方も多いと思います。’17年の家計調査でも“貯蓄を増やす”動きが表れています。働く世帯の世帯年収は、物価を加味した実質で、前年より0.7%、わずかながら増えています。ですが、生活費に当たる『消費支出』は0.5%増にとどまります。代わって増えているのは金融資産です。なかでも預貯金は、前年より7.4%増えました(総務省・2人以上の世帯)」
こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。ただ貯蓄は、最初は勢いよく始めても、続けるのがむずかしいもの。そこで荻原さんが、忘れていても貯蓄できる“仕組み”を教えてくれた。
「会社員の方は、まず『社内預金』を始めましょう。給与からの天引きですから“使えないお金”と割り切れます。社内預金の特徴は、0.5%以上という高金利です。なかには、今でも利率3%という会社があるそうですよ。これを利用しない手はありません。社内預金の次は『財形貯蓄』を検討しましょう。これも天引きですから、始めると“勝手に”たまっていきます」
財形貯蓄には、住宅・年金・一般と3種類あるが、住宅か年金がおススメだと荻原さんは言う。
「通常、預金の利息には20.315%の税金がかかります。ですが、住宅財形か年金財形なら、元本550万円までの利息は非課税です」
とはいえ、社内預金や財形貯蓄の制度がない会社は、たくさんある。そうした会社に勤めている人は、自分で仕組みを作ろう。
「まず、給与が振り込まれる銀行で『自動積立定期預金』を申し込みます。これは毎月決まった日に、普通預金口座から、指定した金額を自動で積み立ててくれるものです。1度申し込むと、あとは一切手間がかからないので、使い勝手は給与からの天引きと変わりません。積立日は、給料日の翌日などを指定するといいでしょう、給料から、あらかじめ貯蓄を確保しておいて、残ったお金で生活費をやり繰りする“先取り貯蓄”が実践できます」
ここで注意してほしいのが、多少の金利差は気にしないということ。
「積立定期預金は原則、1月の積立金は翌年1月に、2月の積立金は翌年2月にと、1年経過ごとにそれぞれ利息が付きます。毎月の積立金が1万円だとしたら、利率0.01%で1年後の利息は1円、利率0.1%で10円です。この差より、預け替えの手間がかからないことを優先したほうが、貯蓄を長く続けられてお金がたまると思います」