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「寡婦(かふ)」という言葉を聞きなれない人も多いのでは。夫と離婚、または死別して、再婚していない女性をいう。こうした寡婦のうち一定条件を満たす方には、「寡婦控除」という税金を安くする仕組みがある。

 

だが、制度自体を知らない人が多く、なかには「会社に離婚したことを知られたくないから申告しない」という女性もいるという。「女性とシングルマザーのお金の専門家」として、女性からの相談実績が豊富な加藤葉子さんは、つぎのように話す。

 

「離婚して相談に来る方でも、寡婦控除を知っている方はほとんどいません」

 

でも、せっかく税金が安くなる制度があるのに利用しないのは、税金を払いすぎているということ。節税できるありがたい制度を、使わない手はないだろう。そこで、加藤さんが寡婦控除について教えてくれた。

 

【Q1】「寡婦控除」って何?

 

冒頭にもあるとおり、寡婦とは夫と離婚か死別をして、再婚していない女性をいう。寡婦のうち、後で説明する条件より収入が少ない人や子どもなどを扶養する人の、納税額を減らせる仕組みが寡婦控除だ。

 

そもそも納税額は、1年間の「収入」から、社会保険料などさまざまな「控除」分を差し引いた「所得」に税率をかけて算出する。収入が同じでも控除が増えると、その分所得が減るので、税金が安くなる計算だ。

 

「寡婦控除は、控除のひとつです。ぜひ覚えて、申請してください」(加藤さん・以下同)

 

寡婦控除には2種類、「寡婦控除」と「特別の寡婦控除」がある。寡婦控除は所得税を計算するときに、収入から27万円を控除、つまり差し引くことができる。住民税の計算では、収入から26万円が控除できる。

 

また、特別の寡婦控除の場合は、所得税では35万円を、住民税では30万円を控除、収入から差し引くことができる。控除が増えると、その分所得が減り、納税額が安くなり節税につながるのだ。

 

【Q2】子どもがもうすでに独立した50代女性でも対象になるの?

 

寡婦控除や特別の寡婦控除に、年齢に関する条件はない。

 

「子どもがすでに独立した方や元々子どもがいない方でも、対象になる場合があります。たとえば、夫と死別し年間所得が500万円以下の場合や、夫と離婚して親などを扶養する場合などです」

 

寡婦控除の条件で、ポイントになるのが「年間所得500万円以下」という基準だ。これは、お勤めの人など「収入は給料だけ」という人で考えると、年収約689万円(’19年)に相当する。

 

「寡婦控除は、比較的高収入の方までカバーする制度といえます」

 

医療費控除はよく知られているが、「寡婦控除なんて知らなかった」という方も多いだろう。加藤さん自身も、「自分が離婚したときには、寡婦控除なんて聞いたことがなかった」と言うほどだ。

 

私もひょっとして……と思った人は確認を。そして、対象だとわかった方は、ぜひ申告しよう。

 

「女性自身」2020年4月7日号 掲載

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