医師に聞くオミクロン株対策「室温20度、湿度50%で1時間おきの換気を」
画像を見る 【図解】WHOが「懸念される変異株」と指定した5種の特徴

 

■重症化予防のためにワクチン接種は必要

 

【重症度】

 

「南アでオミクロン株の陽性者の診察にあたった医師は、頭痛やせきといった症状に加え、“強い倦怠感”を特徴として挙げています。一方、2日くらいで症状は落ち着くとも。オミクロン株が拡大するなか、南アでの重症者数、死者数にはまだ大きな変化は見られません。あくまでも現状においてですが、重症化に関しては、これまでの変異株とそこまでの違いはなさそうです」(勝田さん)

 

【ワクチン効果】

 

モデルナ社のCEOは「現行のワクチンは、オミクロン株への効果は低い」と言及している。

 

「これは、スパイクといわれる、ウイルスの突起部分の変異が32個もあるためです。たとえばスパイクを“指名手配書”だとします。ワクチンで得られた抗体は、手配書に書かれている特徴をもとに“犯人”を捕まえます。しかし犯人は逃走するために、長髪をスキンヘッドにする、一重まぶたを二重まぶたに整形するなど、手配書の特徴を消します。これが変異のイメージです。今回は大きな変異が確認されており、ワクチン効果が低下する可能性が考えられます。一方、イスラエルの報道でその程度が思ったよりも小さいというものもあり、さらなる情報が待たれます」(勝田さん)

 

感染力が強く、ワクチン効果の低下が懸念されるオミクロン株。また第5波のような深刻な事態を招いてしまうのか……。

 

だが、米国国立研究機関の博士研究員・峰宗太郎さんは、過度に恐れる必要はなく、従来どおりの感染対策を呼びかける。

 

「その一つがワクチンです。既存のワクチンでも、オミクロンへの効果がゼロになることはないでしょう。感染・発症予防効果は下がっても、重症化を予防する効果は期待できると思われ、接種率の向上が求められます」

 

ファイザー社の幹部は、3月下旬にはオミクロン株に対応したワクチンを供給できると発表していて、実際に製造するのかを12月中に判断するという。現在進められている3回目のワクチン接種だが、オミクロン株対応のワクチン開発を待つ必要はあるのだろうか。

 

「ワクチンができても、速やかに日本に輸入されるかはわかりません。オミクロンの伝搬性や重症化リスクの分析が進むまで、新ワクチンの接種計画を検討するのは時期尚早と考えます」(峰さん)

 

児玉さんは次のような見解だ。

 

「高齢者や基礎疾患のある人は、重症化を防ぐために3回目の接種をすべきでしょう。それによって中和抗体が5〜6倍に増えます。65歳未満の健康な人は、オミクロン株に対するワクチン効果、今後の感染の広がりなど最新情報を見て判断することになるでしょう」

 

不織布のマスク着用、手洗い、消毒、3密の回避など、今では当たり前となった日常生活も基本だ。

 

「オミクロン株が本格的に流行すれば、医療崩壊、緊急事態宣言の発出につながりかねません。年末年始の会合もほどほどに。会話するときは面倒でもマスクをしましょう。また、これからは寒くて乾燥する時季。換気や湿度管理も重要です」(児玉さん)

 

当たり前の感染対策こそが、オミクロン株を抑える最善手なのだ。

 

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