【2020年上半期の不織布マスク(HSコード6307.90 029)輸入量の推移】
1月 1万5,157トン(2019年同月比116%)
2月 4,732トン(同56%)
3月 8,697トン(同90%)
4月 2万5,877トン(同257%)
5月 3万154トン(同309%)
6月 1万4,064トン(同172%)
一般家庭へのアベノマスクの配布が行われたのは2020年5月から6月にかけて。4月の段階で、すでに十分な輸入量は確保できるようになっていた。その背景には、中国のマスク生産量が急増したことや、中国で一時規制されていた医療物資の輸出が解禁されたこともあるとみられる。
さらに、アイリスオーヤマやシャープなど、さまざまな会社が国産マスクの生産に着手。6月の輸入量は5月と比べて半減していることから、日本国内で不織布マスクが供給過多となっている可能性もうかがえる。実際に過去のツイートを見てみると……。
《マスクが普通に、スーパーに売ってました。。。値段も298円、マスク不足の時代は終わりですかね?》(2020年5月7日)
《地元のピカソ(ドンキの小型店)でも不織布マスク売ってた もうアベノマスク配る理由ないよな…》(2020年5月8日)
この時点で、さらなる調達と配布を止めておけば、費用を大幅に削減できたはずだった。
■安倍元首相自らも唱えていた“アベノマスク神話”
そもそも、テレビで安倍元首相とその秘書官がつけているのを見るくらいで、市中でつけている人をほとんど見ることはなかったアベノマスク。“誰も使っていないマスク”によって、流通が回復したというのはにわかに信じがたいし、こうした主張を裏付ける統計が示されることもない。じつはこの“アベノマスク神話”は安倍元首相自らも唱えていた。
「マスク市場にたいしても、それなりのインパクトがあったのは事実でございまして、業者のなかにおいてはですね、ある種の値崩れを起こす効果にはなっているということを評価する人もいる」(2020年4月28日の衆院予算委員会、安倍首相答弁)
500億円超の税金を使って強行されたアベノマスク政策。岸田首相には根拠不明の“神話”をそのまま繰り返すのではなく、“神話”の真実性を検証したうえで、責任の所在を明らかにしてほしい。