■基金の使い道は、あくまでも国が決めること
寄付の呼びかけから早10年。“塩漬け”との指摘もある基金だが、その使途について進展はあるのだろうか? そこで東京都に取材すると、担当者はこう語った。
「基金は条例で“国による活用のために”と定められています。そこで毎年、都は基金の使い道について国に提案要求をし、協議を行なっているんです。直近では昨年11月に行われています」
確かに『東京都尖閣諸島寄附金による尖閣諸島活用基金条例』第一条には「東京都尖閣諸島寄附金として寄せられた都民等の意思を受け、国による尖閣諸島の活用に関する取組のための資金とするため」とある。
そして提案要求については、東京都の公式サイトで確認することができる。しかし、その内容は毎年大きな変化が見られない。協議はこう着状態なのだろうか。
「国から具体的に何か提示されているわけではありませんが……。世界情勢も関係しているのでしょう。ただ尖閣諸島には、船だまりや灯台の設置が必要といわれています。都の役割は“集めた目的に沿って活用するよう、引き続き国に要求すること”だと考えています」
基金の使い道は、あくまでも国が決めること。しかし国から具体策は提示されておらず、都は提案要求を続けるしかない。そのため基金は、長らく“塩漬け状態”となっているようだ。
では、小池都知事のいう人工衛星はどうなるのだろうか?
「人工衛星に関する発言があったことも承知しています。ただ条例で“基金は国による活用”と定められています」
石原さんが呼びかけた寄付金は一体何に使われるのか、今後も注視していきたい。
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