「おらぁ! なんなんだその態度は!」
「なんでお金とってくれないんですか」
「おめぇが落としたんだろ、まず」
「だから、なんでとってくれないんですか」
こう駅係員が乗客に怒鳴る動画が、7月5日夕方ごろからTwitter上で拡散されている。動画内に収められている駅アナウンスによると、トラブルが発生した場所は山手線のようだ。
動画を見ると、乗客の男性は4万円が入った財布を線路内に落としたようで、非常停止ボタンを押した様子。そして、駅係員に財布を拾ってもらうように頼み込んでいる。
だが、冒頭のように駅係員は財布を落とした乗客を罵倒。「そういう態度はなんだ」と何度も乗客の態度に苛立ちを見せ、「だれがまず悪い? 言ってみろ」「高くついちゃってるぞ、これ。(電車を)とめてるんだから」と詰め寄る言葉も。
さらにこの駅係員は乗客に対して、「とりあえず交番行くからな。待っとけ」と警察に連行することも示唆している。乗客が「なんで交番行くんですか」と聞くと、「あたりまえだよ電車止めてるんだから。山手線止めてんだよ!」と捲し立てたのだった。
Twitter上ではこの動画を見たユーザーの間で、賛否両論が巻き起こっている。
《山手線とか運行密度高いやろし、落とした財布を5分前後取ってくれなかったくらいで非常停止ボタン押されたらそら駅員もキレるんちゃう》
《山手線何分おきにきてると思ってるんだ?そんな状況で財布なんか取れるわけないじゃん。しかも「取ってもらえるのが当たり前」な訳ないだろ》
《こんなに怒らなくても…チンピラの喧嘩みたい “JR“って一流企業じゃないの》
《どっちが悪いとかは知らんけど、会社の看板背負ってる駅員のこの態度はどう考えても異常。冷静に対処できなかったんか》
このトラブルの背景には、一体どのようなことがあったのか? そこで本誌は山手線を管轄するJR東日本の東京支社広報部に問い合わせた。
担当者によると、このトラブルが発生したのは7月4日20時ごろで、JR側が拡散されている動画を確認したのは5日とのこと。まず、「現在、詳細については確認中です」と前置きした上で、乗客によって非常停止ボタンが押されたことは事実だと認めた。そして、当時の状況についてこう説明があった。
「危険な行為に及んでいたお客様の対応をしている場面でありまして、お客様が線路を覗き込むとか、線路に降りようとした危険な行為をされていたので、駅係員がお客様を静止して安全な場所へ移動した後のやりとりです」
しかし、駅係員が乗客に対して怒鳴ることはよくあることなのだろうか? すると担当者は、次のように話した。
「このようなことが起こった場合、駅係員には申告してもらうことをお願いしております。落としたものがホームの下などに落ちると列車に支障があるので、そういった時は躊躇なくお客様に対しても非常停止ボタンを押していただければという考えです。非常停止ボタンを押したからといって、警察に行くということはありません」
最後に、今回のトラブルについてどのように受け止めているかを問うと、「安全を守るという強い使命感があったものの、行き過ぎた言葉遣いがあったことについてはお詫び申し上げます。社内教育等を通じて再発防止に取り組んでいきたいと思います」との回答があった。
ホーム下に物を落としてしまったら勝手に行動するのではなく、まずは駅係員の指示に素直に従うことが大切だ。