■政務官就任で政策は実行しやすく
恩人である安倍元首相の期待に応えるべく、“先兵”となって活動してきた杉田氏。
「先の参議院選で争点となった、選択的夫婦別姓制度の導入に関しても、足を引っ張ってきた議員の一人が杉田氏です」
こう明かすのは、選択的夫婦別姓・全国陳情アクション事務局の井田奈穂さんだ。
「’20年12月に、この先5年間の女性政策をまとめた“第5次男女共同参画基本計画”が発表されましたが、当初盛り込まれていた”選択的夫婦別姓”の文言は削除されていました」
さらに当初案にあった「(選択的夫婦別性への)必要な対応を進める」の文言は「夫婦の氏に関する(中略)さらなる検討を進める」に後退していたという。
「発表後、杉田氏は自身のツイッターを更新。《最終的に男女共同参画基本計画案から「夫婦別姓」の文言も削除させました。一安心です》とフォロワーに対して誇らしげに報告していました」
井田さん自身も、杉田氏の秘書から国政にかかわる人物とは思えない対応をされている。自民党議員を対象に、選択的夫婦別姓に関する勉強会を開いた際のこと。
「杉田議員は勉強会に参加できず、『資料だけ欲しい』と言っていると主宰者に聞いたため、勉強会終了後、私が杉田議員事務所に持参したんです。すると秘書の方が、資料をさっと受け取ると『近寄らないで』と、手で追い払うようなしぐさをしてドアを閉めたのです。今後のために名刺交換する余地も与えてもらえませんでした」
さらに、杉田氏を自民党に招いた安倍元首相の考え方は統一教会の思想にも近いという。
「彼にとって女性活躍はあくまで経済政策で、ジェンダー平等には反対。基本的に女性が家事や介護を担い、三歩下がってわきまえるという戦前の家族観をよしとしているのです。これは統一協会や日本会議の思想ともシンクロしていると感じます」(井田さん)
こうした思想を受け継ぐ杉田氏が、総務省の“ナンバー3”として権力を握ってしまったわけだが、今後どうなるのか。
「政務三役に入ると、自分の政策を実現しやすくなるので国会議員にとっては非常に大きいことです。秘書官が2人付きますから官僚を動かす力も大きくなる。つまり、彼女がデタラメな指示を出しても、官僚は動かざるをえない。非常に危険です」(有田さん)
杉田氏を要職に就けた岸田首相が目指す日本は“女性蔑視国家”なのだろうかーー。