コロナ禍によって苦境に立たされていた旅行業界。しかし、長らく猛威を振るったオミクロン株も落ち着きを見せ、10月から47都道府県で全国旅行支援が開始されるなど、活気を取り戻しつつある。
そんななか、大手航空会社ANA(全日空)の航空券の“ある購入方法”がネット上で話題を集めている。
きっかけは、10月19日に投稿されたTwitter上の呟き。ANAの予約サイトで航空券を購入する際、日本語表示サイトで日本円を使って購入するより、英語表示サイトで米ドルを使って購入した方が同じ航空券で25%も安いというのだ、
この呟きはたちまち拡散され、《うそでしょ──!!! なんでなんで》《すげぇ裏ワザを見つけてしまった…笑》と“お得な購入方法”に驚く人が相次いだ。
本当にそんなことが可能なのか、本誌でも10月22日の羽田から沖縄(那覇)への片道航空券で検証してみた。
まず、ANAの公式サイトで居住地を東京、表示言語を日本語にして、22日午前8時30分羽田発の便のチケットを調べると、値段は48,310円(10月20日時点)。
次に、居住地をアメリカ・ニューヨーク、表示言語を英語にして、同じ便のチケットを調べると、その値段は238.40ドル。10月20日の為替1ドル149.93円で計算すると、35,743円となり、確かに居住地と表示言語を日本にして購入するより1万2千円ほど安い。
ここで一点注意しておきたいのが、価格差が生じるのはチケット価格が外貨表示となった場合。居住地を日本ではなく海外(米国など)に設定した場合に適用されるようで、表示言語を日本語から英語にしただけでは生じない。
価格差の真相について、ANAの広報に問い合わせてみると次の回答が。
「この割引は、海外のお客さまに日本を楽しく旅して頂くためのキャンペーン『ANA Discover JAPAN Fare』の運賃だからです。海外のお客さまに日本各地の魅力を知ってもらおうと、さまざまな運賃規則をもうけた上で、もともと少し安い価格設定にしています。
それでも、通常の国内線セール運賃のほうが、お得に航空券をお求め頂けたのですが、この急激な円安傾向により、このような運賃になっているのです」
なんとANAが23年10月28日まで設定しているキャンペーン制度の一貫だったというのだ。この『ANA Discover JAPAN Fare』は、ANAのWEBサイトのほか、日本国外のANA各支店、旅行代理店でご購入が可能。海外在住者向けの運賃だが、日本人・日本居住者でも利用することができる。
20日にはついに1ドル150円に達するなど、かつてない円安状況下で、驚くような割引運賃になっているわけだが、利用に際しては、「空席待ち不可」「予約の変更・取り消しができない」「キャンセルの場合は50%以上の手数料が発生する」といった条件にも留意する必要がある。
さらに為替状況によっては、割引航空券にならないケースもあるという。