「マイナンバーカードという名前は、やめたほうがいいのではと、個人的には思っている」
2日、NHKの報道番組『日曜討論』に出演した河野太郎デジタル担当大臣が、こう問題発言。マイナカードの発行や運営に携わる同庁トップによる、同施策の存在意義をも否定しかねないトンデモ発言だった。
松野官房長官は「あくまで個人的見解、政府として変更を検討してはいない」と即座に否定。政権は依然として、マイナカードへの一元化に“前のめり”だからだ。
「マイナカードと健康保険証や公金受取口座の紐付けを国民に促す作業は進んでいて、従来の健康保険証は’24年秋に廃止と決定。運転免許証の本人確認用としての使用は’24年度末までと6月27日に閣議決定されました。岸田内閣は国民の個人情報をデジタルで一元管理したいのでしょう。一本化をなんとしてもゴリ押しする姿勢です」(全国紙記者)
だが岸田文雄首相が「’24年秋の廃止に向けて、取り組んでいきたい」と保険証廃止に言及した6月12日の前後から、マイナカードと保険証や口座の紐付けを巡るトラブルが全国で続発している。
まず、公金受取口座の紐付けに、本人ではなく家族や同居人などの名義の口座を登録したケースが約13万件にのぼったとデジタル庁が6月7日に公表。そして他人の口座が公金受取口座に登録されたというケースも748件あった。
7月4日には、先の報告から約1カ月であらたに本人名義でない「家族口座」での登録が約1万件発覚、口座の誤登録も約200件増。
生活経済ジャーナリストで主婦でもある柏木理佳さんが言う。
「家族口座での登録に関しては、子どもの口座がないため親の口座を紐付けて登録した例などから、河野大臣は『誤登録ではない』と強調しています。また、公金受取口座の誤登録は、各自治体の公共パソコンから申請した際、ログアウトし忘れた前の申請者のマイナンバーで、次の人が自分の口座を登録してしまったことが原因と説明されています。しかしどれも個人情報の流出や漏洩につながる深刻な状況。政府の危機意識の低さが見て取れます」
これらを受け、全国保険医団体連合会は5日、従来の健康保険証が廃止された場合、マイナ保険証の使用で「無効や該当資格なしなどのトラブルが約72万件、カードが読み取れないなどの事案が約53万件発生する」と推計した。
「これほどの被害予測が出ていても、岸田政権は軌道修正しません。世論調査の内閣支持率は大きく下がり、不安の声はSNSでも増えてきている。その最たる動きが、マイナカードの『自主返納』です」(柏木さん・以下同)