■SNSで駆け巡るカードの#返納運動
この「自主返納」は、タレントのラサール石井(67)がいち早くツイッターで《本日マイナンバーカードを返納しました》と報告。
「マイナカードに保険証や免許証、口座まで一元化されれば、『財産を持って歩いているようなもの』『怖くて絶対に落とせない』といった不安から、ラサールさんに限らず返納希望者が激増しているんです。SNSでは『#マイナンバーカード返納運動』とタグ付け返納を呼びかける投稿が拡散しています」
共同通信の2日発表の調査結果では、5月以降、自主返納は少なくとも318件あったという。
だが、このような国民の不安や返納の動きも、どこ吹く風ーー。
松本剛明総務大臣は4日、認知症の高齢者らを対象に、「暗証番号の設定がなくても交付できるようにする」方針を表明したのだ。
マイナカードは暗証番号を入力することで、個人の情報の読み取りが可能になり、サイト「マイナポータル」の個人ページの利用や各種証明書の交付サービスなどを受けられる。
暗証番号は盗難や紛失の際に、悪用を防ぐ最大のセキュリティになるはずだが、「設定なしで発行可能にする」というのだから、詳細はぜひ確認したいところ。
■各省庁に疑問や不安をぶつけた結果はーー
そこで本誌がこの方針の具体案を総務省の担当者に問い合わせると「デジタル庁で聞いてください」と、にべもない返答だった。
次にデジタル庁の担当者にたずねると、「暗証番号が他者に知られない限り、悪用されることはありません」と説明してくれたものの、「暗証番号設定なしでも交付可能」方針の詳細については「厚労省におたずねください」という回答が再度の確認のあと返ってきた。
そこで最後に、厚労省の担当者に聞いたのだが、「総務省が内容を精査している段階で、厚労省にはお答えする材料がないため総務省におたずねください」。
なんと見事にたらい回しされた揚げ句、堂々巡りの始末。どこが監督省庁なのかも不明で、岸田首相のお株を奪う責任転嫁ぶりだった。
「続出するマイナトラブルの根源は、内閣と関係省庁の連携の悪さを象徴しているかもしれません。国民からの問い合わせにも、国は、『たらい回しにします』と言っているようなものです。私たちは、マイナカードが一元化された場合の起こりうるトラブルを想定しておくべきでしょう」
次の「トラブル一覧」は、保険証、口座など現在紐付け作業が進んでいるものと、今後紐付けが開始される可能性があるものに関して、「起こりうる(起きている)」トラブルを一覧にしたもの。