動物言語学者の鈴木俊貴氏 画像を見る

東京大学先端科学技術研究センター准教授で、世界初となる“動物言語学者”の鈴木俊貴氏(40)が、ナレッジキャピタル主催の「第10回 World OMOSIROI Award」を受賞したことが1月19日に発表された。

 

「World OMOSIROI Award」とは、2015年から始まった「OMOSIROI」をテーマとした国際的な賞で、国内外の有識者が推薦した100名以上の候補者から最終的に5名の受賞者が毎年選ばれる。これまでに日本人では筑波大学准教授でメディアアーティストの落合陽一氏(36)やイェール大学助教授の成田悠輔氏(39)、慶應義塾大学特任准教授の若新雄純氏などが、外国人では台湾のオードリー・タン氏(42)などが受賞している。

 

鈴木氏といえば“鳥の言葉がわかる”ことで有名だ。野鳥の一種、シジュウカラが鳴き声を単語として使ったり、それを組み合わせて文章まで作って会話していることを発見。古代ギリシャ時代から言葉は人間に特有のものと信じられていたのに対し、動物たちのコミュニケーションにもヒトの言語との共通点が沢山あることを証明し、世界中から脚光を浴びている。

 

シジュウカラ語の証明をきっかけに、鈴木氏はさまざまな動物たちの言葉を解き明かすための新しい枠組み“動物言語学”を提唱。2023年4月に世界初となる動物言語学分野の研究室を東京大学に立ち上げた、注目の研究者だ。今回の受賞は、鳥の言語の解明と動物言語学という新しい分野の創設が評価されたことによるという。

 

そんな鈴木氏だが、実は昨年12月、一風変わった投稿でXをバズらせていた。

 

《ある賞をいただくことになりプロフィール写真を選ばなければならないのですが、どの写真がいいですかね?》という問いかけと共に投稿されたのは、3枚の写真。

 

1番と2番は、森の中で野鳥を観察するための双眼鏡を首から下げた鈴木氏の写真。ところが、3番だけなぜか一緒に写る黒い犬と同じ目線の高さで四つん這いになり、枝をくわえて“犬になりきる”鈴木氏の姿が。一般的な研究者のプロフィール写真のイメージとは異なるがーー。

 

なんと、この投稿は389万件表示され、リプライ欄に設置されたアンケートには最終的に18万票超が集まる事態に。コメント欄は《3番一択で!》《ダチョウ倶楽部の手法》などと異様な盛り上がりを見せ、結果は84%を超える得票で3番の“犬の目線”の写真が圧勝となった。

 

このときに鈴木氏が指していた“ある賞”というのが、今回受賞した「World OMOSIROI Award」のことだった。情報解禁となった今、鈴木氏に受賞した現在の気持ちを聞いた。

 

「研究活動が評価され、このような名誉ある国際的な賞をいただくことができ、とても光栄です。シジュウカラをはじめとする森の小鳥たちや、いつも応援してくださる皆さんのおかげです」

 

Xのアンケートでダントツの人気を集めた3番の写真は、一体どういう写真だったのか。

 

「2歳の愛犬の“くーちゃん”と京都を散歩している様子です。同じ世界に暮らしながら、姿形のまったく異なる動物たち。彼らはどのように世界を認識しているのでしょうか? 動物を理解する上で大切にしていることは、彼らの視点に立って世界を眺めてみることです。

 

さすがに犬の嗅覚を体験することは簡単ではないですが、同じ姿勢をとってみたり、視点を合わせてみることで気づかされることも沢山あります。動物の視点で世界を見てみる。犬に対しても鳥に対しても、同じように大切にしています」

 

問題の3番の写真に対する事務局の反応はどうだったのだろうか。

 

「まず事務局にプロフィール用写真を送るように言われ、アンケートに載せた3枚を送ったところ返信がなかったので『Xで聞いてみよう』と思いアンケートを実施しました。するとXを見た事務局から《お写真・プロフィール等、公開内容につきましても、今度お伺いした際に具体的にご相談させていただければと存じます》とやや硬めのメールが届きました」

 

怒られるだろうと半ば諦観していた鈴木氏に事務局が下した決断は、なんと3番の写真の採用だった。

 

「18万票のうち16万票近く集まったことを受け、『やはりくーちゃんとのお散歩の写真がいいですね!』とご快諾いただきました。“OMOSIROI”を世界に広げるコンセプトの賞なので、むしろ3番が最もよかったのだと思います」

 

研究もプロフィールも”規格外”の鈴木氏から、今後も目が離せなくなりそうだ。

 

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出典元:

WEB女性自身

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