■「『ちゃんと使ってくれると思います?』ってどうなんですか?」
資金が自民党から二階氏に移転したと確認されたところで、話題は“年間10億円もの資金を本当に使っていたのか“に移る。
手持ちの資金のうち3000万円までしか他所へ寄付できないので、ほとんどすべてを二階氏が使ったということになる(残金を出せない理由は後述)。米山氏が、そのことを二階氏に確認したかと岸田首相に問うと、こんな答弁が。
「政治資金が法令に基づき適正に取り扱われるべきことは当然のことであり、二階幹事長においても政策活動費、党のために、党勢拡張のために使用しているものと当然“認識しております”」
米山氏は「つまり確認しなかったわけですよね。認識している、確認してない」とすかさず突っ込み。そして、自民総裁は《党を代表し、党務を総理する》と自民党の党則にあると読んでこう続けるのだ。
「党務を総理するわけですよ。10億円も支出しておいて、『その使途について何も確認もしておりません。きっとちゃんと使ってくれると思います』って、それどうなんですか?」
“岸田総裁”の職務怠慢ぶりを強烈に皮肉った。
■資金が残っていたら、即脱税
1年間10億円という金額は、1日に換算すると261万円、1時間だと10万9千円になるという。そのうえで、米山氏はこう指摘する。
「ちょっと二階幹事長ね、5年間、365日、24時間、雨の日も晴れの日も、寝てるときも起きてるときも、1時間ごとに10万円。ひたすら政治のためにお金を支出し続けた? あり得ますか? あり得ないですよ。通常、これは誰がどう常識的に考えても、相当額が残余として残っています」
仮に、政党から支出されていた政治資金が手元に残っていた場合は、それは“雑所得”となり、課税対象となると説明。国税庁の担当者にも事実確認をしたうえで、こう質問した。
「課税対象なんです。申告、納税の義務があるはずなんですよ。だから、ちゃんと『残ってますか?』くらい聞くべきなんです。そう確認するのが、総理たるもの総裁たるものの責務でしょ? 二階さんは全額使ったのか、使ってないのか、確認したかも含めてお答えください」
しかし、岸田首相は「申告すべきものがあれば、これは適切に申告されているものであると“認識している”」「全額、政治活動のために支出をしているものと“認識をいたします”」と、またもや“認識している”答弁。これには米山氏はこう指摘した。
「つまり、総理はいま自民党総裁としても、総理大臣としても二階さんに確認しておりませんとおっしゃられたわけです」
その後、米山氏は一般人であれば、二階氏のように10億円を貰って使途が明らかでない場合、間違いなく税務署の税務調査の対象になると指摘。
一般論として、“課税上問題があると認められる場合には税務調査が行われること”や、“適正公正な課税の実現に努める”という岸田首相と国税庁の答弁を引き出して、二階氏の問題についての質問は打ち切った。
5年間で約50億円をほぼ一人で使い切っていなかった場合、二階氏は“脱税”となることを国会の場で確認し、政府に“公平な課税の実現”を約束させた米山氏。国会中継を観れば、“ひろゆきの天敵”とはまた別の顔が見てとれるかもしれない。