「街じゅうを『駅前化』するインフラをつくる」
WEBサイトにこうキャッチフレーズを掲げるのは、都心部を中心に展開されている電動キックボード・電動アシスト自転車のシェアリングサービス「LUUP」だ。’20年に都内でサービスが開始されて以降、街中でモビリティの貸し出し・返却場所を行う「ポート」、いわゆる駐輪場を目にする機会が増えてきた。
しかし、このポートの“設置場所”を問題視する声がXで続出しているのだ。
11月上旬、あるユーザーが都内に設けられたポートの写真を投稿した。写真では、地面に埋設された水道メーターの周りが、モビリティの停車位置として水色の枠で囲まれていることが確認でき、蓋には都の紋章と「積載禁止」という注意書きが入っている。この投稿が反響を集めると、実際にメーターをまたいでキックボードが置かれているのを見たという報告や、同様の事例の写真が相次いで投稿された他、こんな指摘が相次いだ。
《LUUPポートの営業モラルが破綻してるのが、よくわかる。「積載禁止」をあえて読まないスタンス》
《設置を決めた人って日本語読めないのかな?》
《水道検針の人が泣きますよ…》
《消防の次は水道に喧嘩売ってんのか》
《前は非常ハシゴの着地点に設置してなかったか?》
なお、LUUP社のオウンドメディア「LUUP Letter」に掲載されている写真でも、LUUPのポートが”積載禁止”と書かれた水道メーターの上に設置されていることが確認できる。
LUUPをめぐっては10月頃、消防活動の妨げになる場所にポートが設置されていたとする投稿がXで相次いだ。このことを報じた同月20日配信の『週刊女性PRIME』の記事によると、LUUPの運営会社は取材に対し、“消防設備の使用に支障をきたす場所にポートは設置しない”という基本方針を明かしつつ、Xで報告された事例の一部について“見落としがあった”と説明したという。
水道メーター付近がポートの設置場所にされていることで、実際の検針活動などに影響は出ているのだろうか? 本誌は東京都水道局に話を聞いた。
当局の担当者はまず、「Xに11月10日に投稿されている件に関連する都民からの問い合わせは、14日までに3件ありました」と明かした。そのうえで、「現時点で検針業務への支障やメータボックスの破損などの影響は生じていません」と現状を説明した。
蓋に「積載禁止」の注意書きを記載している理由については、「メータボックス上に障害物がある場合には、メータの検針や引換作業に支障が生じるため、積載禁止である旨を記載した仕様としています」との返答があった。
今後もLUUPなどのシェアリングサービスが活発化することが予想されるなか、担当者は「水道メータボックス上に障害物がある場合は、メータの検針や交換作業が著しく困難となり、使用水量の適正計量など局業務の円滑な運営に支障が生じますので、障害物の撤去などの改善策を講じていただく必要があります」と説明した。
なお、10日にXで拡散されていたポートの事例については、「現地を確認の上、メータ設置場所の土地の管理者及びLUUP社に対し、メータボックス上にポートを設置しないよう連絡しました」とのこと。今後、当局の活動に困難が生じた場合は、「個々の現場状況等を踏まえ、東京都給水条例等に基づき適切に対応いたします」としている。