■担当者が語った県職員の立場「公約の達成率を職員が調査するのは不可能」
いっぽう担当者は「公約達成」の厳密な評価について、「どこまでいっても定性的な公約に対して、何をもって『達成』とするかは、人によって判断が分かれるようなものもあると思います」と推察。
報道では「実際の公約達成率は27.7%」と報じられているが、この数字は事務的な報告が根拠になっているという。
「137項目の公約に関係する施作を一覧表にしており、項目を数えると173項目に細分化されています。それぞれの取り組み状況について、達成しているものについては、備考欄に『達成済み』と書くようになっているのです」
その上で、担当者はこうも語った。
「ただ、『本当に達成なのか?』と感じるものも中にはありますし、逆に『達成済み』と書かれていなくても、『達成しているのでは?』と感じるものもあります。とはいえ、その項目を『達成済み』とするわけにはいきません。なかなか客観的・定量的に扱えないものではありますが、新聞記事で『公約達成率27.7%』と書かれているのは、備考欄に『達成済み』と書かれているものを純粋にカウントしたものです」
また公約達成については、県職員が判断するものではないという。
「事業の取り組み状況を把握しようとするならば、例えば『学校を〇校に増やします』といったように定量的に測れるものがないと、『達成できた・できなかった』と判断できません。そもそも公約自体がほとんど定量的に示されておらず、『〇〇を拡大します』のように定性的なものばかりだと思います。本当に丁寧にするならば定量的に置き換えていかないといけないと思いますが、そこまでやっていないのが現状です。
知事本人の判断で達成公約数を掲げるのは自由だと思いますが、それを職員が調査するのは不可能です。逆に言えば行政の立場としては、公約に対してどのような施作や取り組みをしているかについてしか説明できません。それに対して、知事自らで達成しているかどうかを判断するものかと思います。県民の付託を受けた知事の思いを形にすること、課題を解決していくこと、公約に掲げた目的に沿うような事業をしていくことに力点を置いていくのが行政の仕事です。その作業の一貫で関連する施作を一覧表にして、その進捗状況の調査をしているということです」
つまり公約の達成率は知事本人でチェックすることになるといい、施作の一覧表はあくまでも参考程度ということのようだ。
最後に斎藤知事にも説明不足な部分があるのではないかと問うと、担当者は「(11月27日)の記者会見では、あまり丁寧には答えているようには見受けられませんでした。どこまでも『一歩進めることが大事』とばかり言っていましたけど……。そうであれば、あまり着手・達成率については言わない方が良いのではないかと個人的には思います。政治的な判断もあるかと思いますので、我々がどうこう言うことではないかもしれませんが……」と率直な感想を語っていた。