■ふるさと納税が控除なし=全額寄付になる場合も
会社員の確定申告でよく知られているのは医療費控除だろう。1年間に10万円を超える医療費がかかった場合、申告すれば所得税も住民税も節税できる。
「とはいえ、家族の医療費が年間10万円を超えるのはよほどのこと。それより使いやすいのはセルフメディケーション税制です」
セルフメディケーション税制は、対象の市販薬を1年間に1万2千円を超えて購入した場合、8万8千円まで控除される仕組みだ。対象の市販薬は風邪薬や鎮痛剤、花粉症薬など、身近なものも多い。
対象薬を年間3万円使った場合、3万円~1万2万円=1万8千円が所得から控除される。所得税が10%の世帯だと住民税と合わせて、3千600円が減税される。
「医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できません。有利なほうを利用してください」
最近はふるさと納税が人気だ。確定申告の必要がない会社員はワンストップ特例制度を使う人が多いが、ここにも落とし穴がある。
「ふるさと納税先が5自治体までしか、ワンストップ特例制度は使えません」
ワンストップ特例だと寄付金上限までの寄付額から2千円を引いた残りが翌年の住民税から控除されるが、6自治体以上へのふるさと納税は確定申告しないと控除が受けられない。自治体に自腹で寄付して返礼品をもらっただけ、翌年の住民税は軽減されない。
「忘れてはいけないのが、医療費控除などのために確定申告する人は、ワンストップ特例が使えないことです。確定申告をするなら、ふるさと納税分も合わせて申告してください」
近年は自然災害も多く、2024年は闇バイト強盗なども多かった。
「災害や盗難の被害を受けた人は雑損控除が利用できます」
雑損控除の計算方法は2つある。また「災害減免法による所得税の軽減」も利用できるので、もっとも節税額の大きいものを選ぼう。
確定申告で小さな節税をコツコツ重ねて、老後資金の山を築こう。
