■「挑戦的な展示や研究が出来なくなってしまう」
しかし、冒頭の職員によると、現場での実感は大きく異なるという。
「内部にいる者の実感としては、政府は“閉館”という選択肢を十分に考えていると思います。別の新聞報道には、財務省幹部が“撤退”や“統合”を考えていると発言しているようです。こんなの事実上の“閉館”と同じですよ」
この“収益ノルマ”の制定が問題なのは、博物館・美術館の“展示内容”や“研究価値”を大きく変えてしまうからだという。
「大問題なのは、“挑戦的な展示や研究が出来なくなってしまうこと”です。限られた予算の中で一定の利益を稼ぐことが前提となりますから、各館は収益が見込めない展示・研究に対して消極的にならざるを得ないでしょう。
館によってはその展示物の性質上、どんなに収益を見込んだ展示をしても“稼ぎの天井”が見えているのです。たとえ収益の見込める展示だとしても、館の大きさや立地などのインフラ面を考えると、政府が掲げる目標をクリアすることが物理的に困難な館があるのは明らかだからです」(前出・国立博物館美術館の現役職員)
別の国立博物館・美術館の現役職員は怒りをあらわにし、こう語った。
「例えばファシズムの特徴として『文化・芸術の軽視』がよく言われますが、博物館・美術館の意義を現在の“市場価値”という指標のみで図ろうとするのは極めて危険な兆候だと思います。
財務省および文化庁の言い分は“多くの館が政府の交付金に依存し過ぎている”ということだそうですが、美術館・博物館は必ずしもお金にならない文化財の保存や修復も大事で、利益優先のアミューズメントパークじゃない。もしこの方針が続いた場合、今後、日本の文化意識は著しく下がることは間違いないと思います」
いま、文化に対する我々の意識が問われている。
画像ページ >【写真あり】物議を醸した“博物館・美術館の再編”についての記述箇所(他1枚)
