■精神科受診、A子さんが今思うこと
「私はかなり精神的に追い詰められていました。20代後半の女性にとって大切な5年間をずっと騙されて無駄にしてきたこと、信頼していた相手に裏切られ続けてきたこと、将来の不安──。いろいろ考えが頭をめぐって、朝から泣き続けていました。そして、相手の母親から『堕ろせ』と何度も言われて、“子供を殺されるかもしれない”と被害妄想が出てきて、家の外に出られないようになってしまったのです」
A子さんの様子は日に日に悪化し、母親が探し回って何とか見つけた精神科で治療を受けることとなった。今ではだいぶ落ち着いたが、まだトラウマのような症状は残るという。
「眠れないことも多いですし、子供に危害を加えられるかもしれないという妄想も少し残っています。狭い市内なので、彼や彼の家族に出会いそうな道や場所には行けません。彼の車と同じ車種を見ただけで動悸がして苦しくなります。また、噂がすぐ回る田舎なので近所の人にも顔を合わせにくく、家を出るときは顔を隠している状態です」
「今は、お腹の子が可愛い」と話すA子さんだが、そう思えるまでにはいろいろな葛藤があったという。
「産むか産まないか、自分でもずっと悩んできました。“あんなやつの子をかわいがれるかな”“もしYさんに似たらどうしよう”“将来、子供になんて言おう”などの思いがありました。でも、不妊治療までしてせっかく授かった子です。もし堕ろしてしまって、今後もしチャンスがあってもできなかったら、“自分が殺してしまった”とずっと悔やむだろうなと思いました。いろいろな心配はありますが、幸い両親が協力してくれていますし、本当によくしてくれますし、友人やまわりも支えてくれているので、とても感謝しています」
A子さんは現在、貞操権侵害でYを訴えるため、弁護士と相談しながら訴状を作成中である。5年以上に及ぶ出来事のため、資料は膨大。大きなお腹を抱え、体調も安定しないため、休み休み書類作成などの準備をおこなっている。A子さんは、今の思いを次のように語る。
「私は、彼に徹底的に嘘をつかれてきました。つき合っていた5年4カ月は本当に仲がよく、恋人でもあり親友でもあるような大切な存在だと思っていたのに、妊娠しにくい体を利用され、ずっと馬鹿にされていたのかなととても悔しい思いです。彼は結局、自分のことしか考えていなかったですし、お金の問題になってからは開き直っていて反省していないように思えます。ここで簡単に済ませたら、また絶対に同じことをするでしょう。もう二度と、私と同じような被害者を出さないようにしたいです」
