■「じつは嫁がいる…」と白状され、押し寄せる現実的な不安に動揺
しかし、妊娠判明の翌月、B子さんを奈落の底に落とす事実が発覚する。
「妊娠後、結婚に向けて具体的な話し合いを進めるなか、5月に入ると彼は『宇都宮に長期出張する』と言い、夜や休日に電話に出なくなるようになりました。ほかにも不審な点があったので問い詰めると、『じつは嫁がいる』と告げられたのです。当初は浮気や二股を疑っていたのですが、まったく想像もしてなかった出来事に、頭が真っ白になりました」
じつは宇都宮には、妻と2人で住む“本宅”があったのである。そして、かつてB子さんがよく訪れた東北のWのアパートは社宅だったこともわかった。事態を知ったとき、怒りの感情よりも不安が押し寄せて、大きく動揺したとB子さんは言う。
「私、シングルマザーになるのかな、生活はどうしよう、まわりにはなんて言おう……と、パニックになりました。Wさんは『嫁とはずっと仮面夫婦だった』と明かし、『離婚してB子と結婚したい。絶対に未婚の母にはさせない』と主張しました。私はこのことを親にも言えず、ひとりで悩みました」
中絶も考えたが、妊娠中期に入っていた。
「中期中絶は体への負担が大きく、お金もかかります。妊娠届を一緒に提出しているので相手の同意も必要でした。それに、婦人科疾患を抱えているため、次に妊娠できるかわからないということも考慮しました。もはや彼の言葉は信用できませんでしたし、もし結婚できたとしても、また同じことを繰り返すかもしれません。でも一人では育てられないし、責任も取ってもらわなければならない。赤ちゃんのために私が犠牲になるしかないと悩んだ末、ひとまず彼の離婚を待つことにしたのです」
WはB子さんの両親に挨拶もすませたが、入籍予定日の7月7日が近づいても、離婚話に進展はなかった。
「Wさんは、予定日に合わせるように“高熱で動けない”と連絡してきたんです。呆れましたが、最低でも出産にかかる費用は出してもらわないと、と思いましたし、暴力を振るわれる可能性もあったので問い詰めず、そのまま7月7日が過ぎました。私の妊娠を祝福し、積極的だった彼のそれまでの行動すべてが謎でした」
その後、事態は進まず、Wからの連絡も途絶えがちになり、B子さんは8月末にようやく両親に状況を伝えた。B子さんの実の両親は離婚しており、相談したのは前年にがんの手術を終えた母と、義理の父である。
「お母さんは“なんかちょっと怪しいと思っていたよ”という反応でしたが、義理のお父さんはすごく怒って、『やつのところに行くぞ!』という話になったんです。私もこのままでは逃げられると思っていたので、一緒に行くことにしました」
