■実家への“突撃”の顛末と、同意書の作成
当時、Wは栃木県内の実家に身を寄せていた。スマートフォンの位置情報が共有されたままだったので、実家の住所はわかっていた。B子さんの自宅から約200km、車で2時間半の距離である。義理の父の運転で、B子さんと母の3名がWの実家に向かった。家に到着すると、Wの車が駐車場に停められていた。しかし、チャイムを押すと、階段を駆け下りる音が聞こえたものの、一向に誰も出てこなかった。
「何度もチャイムを鳴らしましたが、Wさんも家族も誰も出てきませんでした。3時間ほど粘り、電話やLINEもしましたが反応はなく、これは逃げるつもりだなと思いました」
そこで一計を案じ、B子さんのスマホを車に乗せ、義理の父に自宅の方向へと走らせてもらった。位置情報で「帰った」と思わせるためである。
「すると、あたりを窺うようにWさんの父と思われる人が、ドアを開けてでてきたんです。すかさず私と母が駆け寄り、『あなたの息子さんの子供を妊娠し、婚約もしている者です』と話しかけました。その後、Wさんも出てきて、相手の両親と私の両親を交えて近くのファミレスで話し合いをすることになったんです」
Wは明らかに居留守を使っておきながら、話し合いの席では「今の妻と別れてB子さんと一緒になりたいです」「責任は取ります」と訴え、泣き始めたという。
義理の父は、これまでのWの不実な態度を責め、子供を認知し、満18歳に達するまで月額5万円の養育費を支払うこと、慰謝料として720万円を支払うこと、出産に要する医療費や諸費用などの実費を支払うこと、Wの配偶者から不貞行為等で法的請求がなされてもWの責任で対処すること、後日、同意書にサインすることなどを約束させた。
「同意書を交わす当日、Wさんは大幅に遅刻してきたものの、何とかサインさせることができました。同じ日に胎児認知届も提出させましたし、同意書には不履行の場合の違約金や強制執行などについても設定されています。これでひとまず逃げられる心配はなくなったと思ったのですが……」
しかし事態はそうならなかった。法的に拘束力のある同意書を交わしても、Wは逃げ続けたのである。それには新しい女性の存在があったと、B子さんは言う。
