《過去には“違法監視”で国敗訴も》自衛隊「現地情報隊」が市民の思想や性的指向を情報収集か…小泉防衛相は「事実確認してない」
画像を見る 小泉大臣は「事実は確認できていない」と主張している(写真:本誌写真部)

 

■過去の“違法監視”より悪質性が高いと専門家

 

現地情報隊が発足する以前から、陸上自衛隊は個人情報の収集を行ってきたと、小西氏は話す。

 

「代表的なものが、『旧調査隊』です。本来は自衛隊内部の隊員に対する身辺調査や保全活動を目的としていました。私の知る限りでは共産党員やその家族、あるいは特定の政治活動との関係なども調査対象とされてきたようです。ただ、その活動範囲が徐々に拡大し、反戦運動や市民団体、ジャーナリストなどにまで対象が広がったことが問題視されてきました。2007年に始まった情報保全隊訴訟は、その象徴的な事例だったと思います」

 

この「自衛隊の国民監視差止・国家賠償請求訴訟(=自衛隊情報保全隊訴訟)」とは、陸上自衛隊の情報保全隊が、イラク派兵に反対する市民や団体を広範に監視し、個人情報を含む内部文書を作成していたことの違憲性・違法性を問う裁判だった。高等裁判所が国家機関による国民監視活動を「違法」と断罪した歴史的な判決としても知られている。原告弁護団の事務局長を務めた小野寺義象弁護士(一番町法律事務所・仙台)が振り返る。

 

「2003年から2004年にかけて、自衛隊のイラク派遣をめぐり、全国で市民による反対運動が広がり、イラク派兵違憲訴訟が仙台・札幌・名古屋など全国各地で闘われていました。そのさなか、陸上自衛隊情報保全隊が市民の活動を監視していたという内部文書が公表されたのです」

 

2007年6月に存在が発覚した内部文書は全166ページだが、東北情報保全隊が作成した文書と、情報保全隊の本部が全国の情報を集約した文書の2種類があった。

 

「東北6県でイラク派遣反対の集会に参加した市民が、2007年10月に、仙台地裁に提訴し(最初は4人、最終的には107人)、個人名も含む詳細な内部文書を情報保全隊が作成・保管していたことは、市民監視であり、思想信条の自由、プライバシー権、表現の自由、そして平和的生存権も侵害する重大な違憲・違法な行為だと裁判所に訴えたのです」

 

仙台地裁は、2012年、内部文書は自衛隊が作成した文書であると認定し、文書に実名が記載されていた5人に対して違法な人格権侵害があったと認定して慰謝料の支払いを命じた。仙台高裁は、2016年2月、1人の原告に対して違法なプライバシー権侵害があったと認定、慰謝料の請求を命じた。国は上告を断念したため、市民の勝訴が確定した。小野寺弁護士は、当時の判決を踏まえて、今回の現地情報隊の報道について以下のように話している。

 

「私が代理人を務めた裁判で違法とされたのは、市民の本名や勤務先などの情報が収集された部分です。しかし今回の現地情報隊の報道内容では、調査対象者の性的指向や、愛国心といった、より深いプライバシーに踏み込んで調査したとされています。違法性の程度は、当時の裁判の事案と比較しても格段に高い。自衛隊は違法行為を全く反省していないと言わざるを得ません」

 

8月5日、「熊本日日新聞」は実際に調査対象となったNPO法人代表の男性の証言を報じた。次第に明らかになる現地情報隊の実態と、調査手法の問題。小泉大臣はどこまで正確に把握し、国民にどう答えるのだろうか。

 

画像ページ >【写真あり】顔を寄せ合い高市首相と話をする小泉大臣(他1枚)

出典元:

WEB女性自身

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