■「米軍基地だけ」が狙われるわけではない
さらに、攻撃対象となり得るのは米軍基地だけではない、と布施さんは警鐘を鳴らす。米軍は、有事には基地が攻撃されることを想定し、航空機などを民間空港へ分散させる作戦も考えているという。その分散先として浮上するのが、那覇空港だ。
「辺野古の基地が完成したとしても、滑走路が非常に短い。ですから米軍としては、嘉手納基地が先に攻撃を受け、滑走路が破壊されたときに使える飛行場を、もう一つ確保しておきたい。そのために那覇空港を使用したいと考えています」
米側は、普天間飛行場の返還条件の一つとして、辺野古では確保できない「長い滑走路」を緊急時に利用できることを求めている。使用する空港は決まっていないが、沖縄本島で条件を満たす民間空港は那覇空港だ。
「空港というのは、住民にとって命綱です。外から物資が入ってくる場所でもありますし、いざ避難するときにも使う。そこを米軍が使用すれば、“軍民分離”という原則が成り立たなくなり、民間にも非常に大きなリスクが及びます」
折しも、沖縄では県知事選の真っただ中だ。
現職の玉城デニー知事(66)は、米軍による那覇空港の使用を認めない立場を明確にしている。一方、古謝玄太候補(42)は、「平時からの使用を求めるものではない」として返還条件をどう整えるかは政府の責任だ、との考えを示している。
「有事に米軍が使用することを認めるのかどうか。これは基地問題というだけではなく、県民の命や安全にかかわる問題だと思います」
■「米軍だから仕方ない」で終わらせない
事前承認のない米軍の基地使用を止めることはできないのだろうか――。
「いまの事前協議制度では、米軍による基地使用にイエスと言うかノーと言うかは、基本的に政府の判断次第です。しかし、イエスと判断すれば、日本が戦争に巻き込まれる可能性が極めて高くなる。非常に重大な判断ですから、政府だけで決めるのではなく、国会の承認を受ける必要があると私は考えています」
加えて重要なのが、“世論”だ。
「アメリカも、基地を置いている国で反対の声が大きくなることを気にしています。基地の使用を認めた結果、自国が戦争に巻き込まれるおそれがあるのであれば、簡単に『使っていい』とは言えません。それは主権国家として当然のことです」
今回のイランへの軍事作戦でも、ヨーロッパ諸国では自国の米軍基地の使用に対して反対が相次いだ。
「スペインは米軍による国内基地の使用を認めていません。イタリアでも、中東へ向かう米軍機による国内基地の使用を認めなかったケースがあります。自国にある基地を米軍に使わせないというのは、別に特別なことでも、不可能なことでもないのです」
そして布施氏は、こう締めくくる。
「『米軍が日本にいるんだから仕方がない』ではなく、自分たちの安全のために米軍の行動をしっかりコントロールする。場合によっては『日本からの軍事作戦は認めない』ということも含めて、言うべきときには言う必要があると思います」
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