ウクライナ戦争は、最新兵器の実験場となっていると警鐘(写真:(C)Svet Jacqueline/ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ「ZUMA Press」) 画像を見る

スマホの顔認証や自動翻訳、家電製品など、私たちの日常生活に深く入り込んでいるAI(人工知能)が、急速に軍事利用されている。

 

「AI兵器の開発の動きは日本に限らず、世界中に広がっています。かつてはSFの世界で描かれていた光景が、現実のものとなってきました。ウクライナ戦争が“AI兵器の実験場”になっています」

 

そう指摘するのは、AI兵器に詳しい笹川平和財団主任研究員の福田潤一氏(48)。代表例が無人機(ドローン)。ウクライナ軍はロシア軍の航空機や、ロシア版Amazon「ワイルドベリーズ」の物流倉庫などを狙った攻撃を行い、莫大な損害を与えている。こうした攻撃にもAIを搭載したドローンが使われていた。

 

ロシア軍によりGPSや操縦電波が遮断されても、AIがカメラ画像から地形や建物の輪郭を認識しながら目標に向かい、攻撃対象を判別して効果的な部位を狙って突入・着弾したと言われている。

 

「リアルな戦場での戦い方を、AIが提案する時代がもう来ています。たとえば、軍が保有するデータを基に敵地への経路を提示し、所要時間や必要な人員などを表示することは、実際にウクライナ戦争で実用化されていると言われています。

 

AIを搭載したドローンは、通信が途絶えても敵の拠点などを識別し、攻撃できるようになりました。また、小型ドローンをひそかにロシア国内に持ち込み、ロシアの空軍基地4~5カ所を攻撃し、戦略爆撃機に大きな打撃を与えた例もありました」(福田氏、以下同)

 

安全保障環境の変化と自衛隊員の不足を補う切り札が、防衛省が進めている「新しい戦い方」で、AIの活用と装備品の無人化の方針を打ち出した。

 

小泉進次郎防衛相(45)は今年3月、安保関連3文書の前倒し改定に向けた省内会合で「自衛隊を世界一、無人アセット(装備品)を駆使する組織に改革する」としたうえで、ドローンをはじめ、潜水艇や水上艇、地上車両は無人で、遠隔操作や自律航行によりあらゆる任務に対応できる無人アセットの導入に力を入れると明言した。

 

「どんなことが実際に想定されているのかというと、ドローン単体で運用されるケースはまれで、通常は複数のドローンを組み合わせて運用します。代表的な運用例は蜂の群れを意味する『スウォーム』で、数百~数千機のドローンが群れとして統制され、相互に連携しながら夜空に複雑な図形を描く技術です。これを攻撃に応用する訳です。

 

そのために、ドローン同士、あるいは後方に控える人間(指揮所)との間の通信ネットワークが電波妨害を受けても目的を遂行するための技術が必要となります。そこにAI活用の意義があります」

 

「装備や物資について平時から十分に確保するほか、万一の場合は増産できるようにするなど、持続的に対応できる力を持つことがこれからの国の守りではより大切」と、今年度版の『防衛白書』のなかでも示している。

 

そのようななかで、急ピッチで進めているのが民間技術を軍事に転用すること。

 

「経済成長に貢献しうる『投資』として意義がある」と高市早苗首相(65)が強調しているように、「防衛テック」という新たな市場が立ち上がり、AI、ソフトウェア、宇宙、サイバー、ドローンなど、民間の最新技術を防衛装備品として採用しようとする仕組みを防衛省は立ち上げた。

 

それが今年2月、防衛装備庁が開始した「ファストパス調達」で、スタートアップ企業や中小企業の優れた先端技術を防衛装備品に素早く取り込む制度。

 

AIやドローンなどの先端技術は進歩が早く、従来の入札の方法では現場に届くころには時代遅れになるという課題があったため、最短3カ月半で直接防衛装備庁と契約を結ぶ仕組みを整えた。

 

すでに民間企業と防衛省・防衛関連企業とのマッチングを目的とする展示会が積極的に開催され、過去2回の展示会では、累計103社が出展し、約1800人が来場するなど、大きな反響を呼んでいる。

 

当然膨らみ続けるのは費用で、8月31日に閣議決定された防衛省の来年度予算の概算要求は、過去最大の約8兆9000億円で、年末に金額がすべて確定すれば、前年比で1兆円以上の大幅な増額になると見込まれている。

 

秋の臨時国会では、防衛省関連では安全保障3文書の改定や、防衛費、無人装備品の導入などをめぐる議論が焦点となる。果たして、国民が納得できる説明を示すことができるのだろうか。

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出典元:

WEB女性自身

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