■逆効果を生む不透明な「女子枠」疑惑
女性リーダーの誕生は、リベラルでクリーンなイメージを社会に与える側面がある。しかし、十分な説明や能力に基づく明確な基準を示さず、事実上の「女子枠」とも受け取られかねない形で選出を強行すれば、かえって学内外に深刻な分断を生む、と山尾氏は指摘する。
「十分な説明がないまま、ダブルスコアを覆して女性候補が選ばれたことで、世間からは事実上の『女子枠学長』と受け取られかねない状況を生み出してしまいました。たしかに東大では女子学生は2割程度で、教職員の数も女性は少ない状況です。
『実力で選ばれたリーダーが女性だった』ならこういう状況を変える前向きなメッセージになるでしょう。でも『女性だからリーダーに選ばれた』ではむしろ逆効果で、男女を問わずリーダーを目指す学生や教員の士気を下げるのではないでしょうか」
男女雇用機会均等法が施行されたのは1986年4月1日で、今年で40年にあたる。日本の職場は「男は仕事、女は家庭」という固定観念から、男女が平等に働ける環境へと大きく舵を切ることになった。2006年改正では男女双方に対する差別も禁止となり、「男性だから」といった理由で不当に扱われることも制限されている。
「2024年には司法の分野で検事総長と日弁連(日本弁護士連合会)会長が女性になりました。政治の世界でも2025年には女性の内閣総理大臣が誕生し、企業でも女性のCEOの活躍が当たり前の光景になってきました。
各所で女性活躍が進んでいる今、なお引き続き『女性枠』や『女性限定公募』のような優遇措置を続けることに合理性がどこまであるのか考え直すときです。生まれたときから男女平等が当たり前の世代にとっては、下駄を履かせるような不透明な優遇措置はかえって男女間、そして女性の間でも新たな分断を生み出しかねません」
