■基地の7割が沖縄に集中 日本全体の問題にならない理由
沖縄には、在日米軍専用施設面積の約7割が集中している。
「沖縄では基地と住民の居住地域が非常に密接です。米兵は公務外には自由に民間地域を行き来している。そうした環境も事件が起こりやすい要因になっていると思います」
高良氏は、戦後、本土にあった米軍基地の一部が沖縄へ移され、危険が集中したことも問題視する。
「基地の不利益が沖縄に集中するようになったことで、本土では地位協定の不平等性や米軍による危険を意識しなくても、日常生活ができるようになってしまったんです」
日本政府の姿勢にも疑問を呈する。
「日本は米軍の駐留を受け入れ、国内での訓練も認めています。そんなに物が言えない立場ではないはずです。それなのに、地位協定の改定を議論しようとする様子がなかなか生まれない」
■「48時間停止して、49時間目には再開する」綱紀粛正に効果はあるのか
今回の事件では、日本の警察が基地外で容疑者を逮捕したため、日米地位協定による身柄引き渡しの問題は生じていない。しかし、高良氏は捜査上の懸念を指摘する。
「事件当時と逮捕時で容疑者の服装が違っていたという報道があります。仮に基地内に証拠を置いていたとすれば、日本の捜査機関は米軍の協力なしには証拠を押さえられません」
事件後、米軍は沖縄に駐留する米兵に48時間の活動停止を命じ、その後30日間の夜間外出制限を発表した。
「48時間の活動停止をしても、49時間目にはまた活動を始めるわけですよね。30日間の行動制限をしたとしても、その後はどうするんですか、ということです」
事件のたびに繰り返される綱紀粛正や教育の見直し。その実効性を高良氏は疑問視する。
「これまでどういう教育をしてきてたのか、教育の効果がないのだとすれば、どこに問題があったのか、しっかり検証してほしいと思います」
軍隊は人を殺傷する訓練をしながらも、同時に人に暴力を振るってはいけないと教えなければならない。
「この二つを両立させるのは、とても難しいことだと思います。でも、米軍の駐留を認める以上、日本政府も単なる受け入れ国としてではなく、積極的に関わらなければ改善は難しいと思います」
さらに、沖縄の海兵隊をグアムへ移転させる計画についても言及する。日米両政府は4,000人以上の移転を計画し、2024年12月には約100人の先遣隊が移転を開始した。
「海兵隊による犯罪をどう食い止めるかということと、計画に基づいて実際に沖縄の海兵隊をどう減らしていくかということも忘れてはいけないと思います」
事件が起こるたびに繰り返される抗議と再発防止の約束。米軍の駐留を認め、その危険を沖縄に集中させてきた日本政府の責任が、いま改めて問われている。
画像ページ >【写真あり】沖縄では米兵による事件事故が繰り返されてきた。写真は2009年の米兵による死亡ひき逃げ事故に抗議する地元の人たち(他1枚)
