「たとえ、時間が読めなかったとしても、G7会議が予想される日であれば、ふつうは動かせる予定をキャンセルして待機するのが総理大臣の責務です。それをせず、お酒の入った内輪の飲み食いを優先し、その後は公邸にいながら出席もしなかった。これは事実上の『職務放棄』『サボり』と言わざるを得ません」
こう話すのは、立憲民主党の辻元清美参院議員(66)だ。10月21日で政権発足1年を迎えた高市早苗首相(65)。だが、いま永田町を大きく揺るがしているのが「G7オンライン首脳会議欠席問題」だ。
10月2日の夜に開催された同会議を欠席したことを問題視されている高市総理。国会で、この問題を追及している辻元議員はこう指摘する。
「まず大前提として、このG7オンライン首脳会議は、対面で行われるリアルな首脳会議と“同等の位置付け”です。安倍政権のとき、コロナ禍を機に定着したのがオンラインの会議形式ですが、オンラインだからといって格が落ちるわけでは決してありません」
G7(主要7カ国首脳会議)とは、フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダの7カ国に欧州連合(EU)を加えた枠組みで、世界の政治や経済、エネルギーなど地球規模の最重要課題について各国の首脳が直接議論を交わす最高峰の国際会議だ。
高市首相は当初、辻元議員に「日本から総理が出席するといった類のものではない」と会議の重要性を軽視するような発言をしていた。だが、その直後「直前まで時間が決まらず、通信環境の準備が間に合わなかった」と、政府の事務方や業者に責任をかぶせるような答弁を重ねた。辻元議員はこう続ける。
「そこに高市総理も茂木敏充外務大臣も出席せず、わざわざワシントンにいる外務審議官を代理出席させたこと自体、外交判断として大きな間違いです」
■日本の国益にかかわる会議を「総理が出席する類のものではない」と
辻元議員は今回の会議が、「日本の国益に直結するもの」だったと指摘する。
「この会議では『世界のエネルギー安全保障および市場の安定に関するG7首脳声明』という極めて重要な共同声明が発出されています。
イラン情勢の緊迫化などで石油市場の価格高騰が市民生活を脅かしており、『当面のエネルギー供給を安定させるために断固とした協調措置を取る』ことでG7が一致したという、日本にとっても非常に重要な会議だったのです」
辻元議員は日本の置かれた状況を踏まえ、次のように語気を強めた。
「資源の多くを輸入に頼る日本にとって、エネルギーの安定供給は最優先の国益であり、まさに最重要課題がテーマだったのです。それを、なんと高市総理は国会で『議題がアメリカとヨーロッパの間の問題だったので、代理出席でよし』『日本から総理が出席するといった類のものではない』と言い放ちました。これは大失態です。G7の加盟国が聞けば、『日本の首相はG7首脳会議そのものを軽視しているのか?』となり、国際社会における日本の信用は失墜してしまいます」
辻元議員が追及する最大の矛盾は、会議開始までの「3時間半」の空白だ。
「主催国のフランスは当然、事前にG7会議を開くことを日本政府に伝えていました。そして10月2日の17時59分には、ロイター通信が『21時30分からG7首脳テレビ会議を開催する』と世界に報じています。ロイターが報じたということは、その時点で各国の時間調整は完全に完了していたということを意味するはずです」
辻元氏は高市首相の行動に疑問を呈する。
「しかし、高市総理は18時30分から、自民党の麻生太郎副総裁や萩生田光一氏ら身内の自民党執行部と、首相公邸でお酒を交えた会食を始めています。会食は19時45分ごろには終わりましたが、それでもG7が始まる21時30分までに『1時間45分もの時間』がありました」
ところが高市首相は会食後も公邸に滞在したままであり、公務の予定もなかったとされる。
「それなのに『急に決まったから業者の手配が間に合わなかった』というのはあまりに不自然です。
第一、総理は過去に自身のXで『公邸にはオンラインシステムがあっていつでも会議ができる』と発信していたんですよ。もし『業者が来ないとオンライン会議もできない』というのが本当なら、緊急時の対応はどうなるか。それこそ『政府の危機管理能力がゼロ』であることを露呈しています」
■ふつうに対応してくれた職員が口を閉ざして……
G7欠席問題の真相を究明しようと、辻元議員は外務省の担当者にヒアリングを実施した。しかし、そこでは異様な回答が繰り返されたという。
「本当に、なにを聞いても『言えない』『言えない』の繰り返しで、機械的な回答でした。じつは、以前、国会質問の前段階で同じ職員とやりとりしたときには、ふつうに対応してくれる方だったんですが……」
辻元議員はこう続ける。
「ところが、この件で質問した途端、うつむいて口を閉ざしてしまって……。上層部や官邸側から『何ひとつ質問に答えるな』と強烈に釘を刺されている、言わされている、という印象を強く受けました。でも、職員の方には何の罪もないわけで、答えに窮する姿を見ていて本当にお気の毒でしたし、かわいそうになりましたね」
辻元議員は、外務省の異常な対応から「3時間半」の空白が政府にとって隠したい「闇」になったのではないかと懸念しているという。
10月27日午後に開催される参議院外交防衛委員会に出席し、そこで再びこの問題を取り上げる予定だと辻元議員。
「高市総理はよく『世界の真ん中で輝く日本外交』といった趣旨のことをアピールされていますが、現実にやっている行動は真逆です。今回のように最高峰のG7をサボり、挙句の果てに『総理が出る類のものではない』と言い放つ。これでは、高市総理自らが日本を『世界の片隅へと追いやっている』ようなものです。これは日本の国益にとって重大なマイナスであり、絶対にうやむやにしてはなりません」
辻元議員は最後に、参議院外交防衛委員会に向けた決意をこう語った。
「茂木外務大臣に対して質問し、外務省が私の前で言えなかった『本当の通達時間はいつだったのか』『誰が欠席を判断したのか』など、当たり前の事実を公開できればと思います」
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