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30度を超える晴天となった9月9日。埼玉県所沢市の「西武園ゆうえんち」では、1千人超の来場者が祈りをささげていた。25年前、SMAPがSMAPデビューを果たしたこの“聖地”に多くのファンが駆けつけていたのだ。

 

「事前にファンの方から『イベントをさせてほしい』とのご要望はいただいておりましたが混雑による安全面を考慮した結果、見送らせていただくことにしたんです。にもかかわらず、この日の来場者数は約1千200人でした。当園の平日の平均来場者数は200人ほどですので、その6倍です。9割以上がファンの方だったようです」(西武園の広報担当者)

 

駐車場には関東だけでなく、札幌、宮城、三河、松本など全国各地のナンバープレートをつけた自動車が。園内には関西や外国からの来場者の姿もあった。年齢も幅広く、30代の子連れ女性から親子3世代で来た家族も。88歳の女性は、こう語る。

 

「SMAPのコンサートは2年に一度。それを楽しみにしていたんです。ファンになってからずいぶん長いし、もう生活の一部になっていた。だからせめてもと思い、今日は元気をもらいたくて参加させていただきました」

 

SMAPがこの地でCDデビューしたのは91年。当日は早朝から大雨が降っていた。まだ彼らが国民的アイドルグループになるとは、誰も想像できなかったころ。出発は順風満帆とはいえなかった。それでも彼らは諦めず、ファンに訴え続けた。そうして掴んだCDデビューの日、だが、そこには1万5千人ものファンが待っていた。

 

「この先、売れる保証なんてどこにもない。それでもメンバーたち、そして駆けつけたファンたちの胸には希望だけがありました」(前出・芸能関係者)

 

25周年の日に集まったファンも、思いの強さは同じだった。「あの日のみんなが持っていた希望を、今度は私たちが!」と呼びかけるファンの声もあったという。

 

「解散コンサートが行われる話は今もありませんが、それでいいんです。だってそのほうが、いつかまた再結成できるかもしれないじゃないですか。同じ舞台に立つ5人にまた会える。私はそう信じています」(50代女性)

 

そしてこの日集まったファンたちに、ある“奇跡”が起きていた。最初は聞こえなかったが、次第にSMAPの歌声が聞こえ始めたのだ。

「あれ、聞こえない?」

「SMAPの曲だ!」

そう口々につぶやきながら、曲が流れている方へと歩いていくファンたち。それは、西武園ゆうえんちからの“粋な計らい”だった。

 

「普段はUSENを流しているのですが、この日は誰からともなく『SMAPさんの曲を流そう』ということになりました。デビュー曲をはじめ、みなさんが大好きな曲を流し続けました。正直なところ、スタッフのなかにもSMAPの熱狂的なファンがいますから」(西武園広報担当者)

 

ファンの思いが強ければ強いほど、その“奇跡”はいつしか大きく広がっていくのかもしれない――。

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