5月29日に老衰で亡くなった映画監督で脚本家の新藤兼人さん(享年100)の通夜が2日、東京都港区の増上寺光摂殿でしめやかに営まれ、俳優の津川雅彦(72)、豊川悦司(50)ら著名人、関係者ら約1000人が参列した。

新藤監督が亡くなったことを受けての会見で、大往生した監督に「おめでとうを申し上げたい」と語っていた津川は、弔辞で「今ここで撤回します。先生、ごめんなさい。おめでとうだなんて言っちゃって」と、最期まで新藤監督との別れを偲んだ。

80歳の誕生日から「これが最後の作品です」と言い続け、その後6本の作品を撮った監督に津川は「『生きている限り生き続けたいと宣言され、案の定、大往生の前の晩まで日米合作をお撮りになったその執念、参りました。降参です」と語った。

また、津川は92年公開『墨東綺譚』で新藤監督と初めて仕事をした。『一枚のハガキ』では自ら頼み込んで出演。その出番が終わったとき、新藤監督が「これが最後かな」と涙を流しながら交わした握手が忘れられないと話し、尊敬する偉大な監督に「これは弔辞というよりは僕の最後のラブレターと思ってください。先生、愛してます。ありがとうございました」と深々と頭を下げた。(撮影:河崎文雄)

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