5日に東京・新橋演舞場で開幕した、六月大歌舞伎。市川中車を襲名した香川照之(47)の初舞台を、母の浜木綿子(76)は、1階後部座席から身を乗り出すように前のめりになって、ハンカチで涙をぬぐいながら見守っていた。
香川にとって、今回の襲名は、團子こと息子・政明くん(8)の初舞台だけでなく、実父・猿翁(72)と浜の45年ぶりの“絆復活”を生んだ、生涯忘れられない晴れ舞台となった。絶縁していた浜と猿翁が再会したのは、開幕約2週間前の5月24日のこと。
「香川さんが都内のお稽古場に浜さんを呼んだんです。香川さんから手でスッと猿翁さんのほうに促された浜さんは『しばらくでした』と自然に挨拶を交わしていました。猿翁さんが照之さんを指差して『このように照之を立派に育ててくれてありがとう。大変でしたでしょう』とねぎらうと浜さんは『はい、大変でした』と笑ってました」(歌舞伎関係者)
襲名初日当日、浜と猿翁は“和解”後、2度目の言葉を交わしたという。
「浜さんは初日の口上後、猿翁さんの楽屋を訪ねたようです。浜さんから『初日舞台、おめでとうございます』と挨拶すると、猿翁さんは軽く手を上げ『ありがとう』と応えていたと聞きました」(前出の歌舞伎関係者)
初舞台の幕が下り、楽屋では香川の感涙が止まることはなかった。
「そのうち、浜さんも一緒になって泣いていました。愛すべき息子と孫の歌舞伎界での将来を考え、浜さんは苦い記憶を自分の胸の中だけにしまい、元夫に歩み寄ったのだと思います。“やっとここまで漕ぎつけたかな”と感慨深げでした」(前出の歌舞伎関係者)