「10月7日に親戚だけで集まって、あの子の一周忌を済ませました。母親はずっとすすり泣いていました。家では今でも、母親があの子の分もご飯を作ってあげています。生きているときと同じようにね。でも、あの子はもう、帰って来んのです……」
そう語るのは、昨年10月11日に大津市で自殺した中学2年生・Aくん(享年13)の祖母だ。Aくんが自殺してから丸一年。同級生たちはいじめの事実を否認し続けている。裁判では、学校や市の隠蔽体質が次々と明るみになるなど、遺族の闘いは続いている。そんななか、Aくんの祖母は、本誌に悲痛な胸中を語ってくれた。
「この一年は、本当に辛い一年でした。テレビや新聞であの子のニュースがあるたびに、泣いてばっかりいました。朝起きると、新聞にあの子の記事がないか探してね。記事がなかったら気になるし、見つけて読むと、あの子を思い出して悲しくなるんです」
祖母はこれまで報道された新聞雑誌をすべて保存し、一部をスクラップしているという。「毎晩、布団のなかでスクラップされた記事を順番に読み返します。やっぱり、涙が出てきます。『辛くなるから、もうそんなことせんとき』という人もいます。でも、あの子のことを忘れたらあかんと思ってね」
祖母は、折に触れてはAくんの自宅へと足を運び、仏前で手を合わせてきた。「遺影をみるだけで、もう可哀想で仕方ない。『なんで、そんな早く逝ってしまったんや。おばあちゃんより早く逝ったらあかんやろ』って呼びかけているんです。あの子は本当に明るい子やった。ええ子やった。小さいときはよく、ノートの切れ端で“かたもみけん”や“おてつだいけん”を作って私の肩をもんでくれました。あの子がくれた券が今も残っているんです」
Aくんの命日には、学校で生徒たちが主体となり、追悼行事が行われた。しかし、校長と当時の担任教諭は、体調不良を理由に行事を欠席したという。
「生徒さんたちが、一生懸命してくれるのは、本当にありがたいです。けど、本当なら先生方にもっと頑張ってもらわないといけないと思うんですけどね……」
最後に、加害者生徒たちへの思いを聞いてみると、「いまさら何を言っても、あの子は帰って来ません。『返してくれ!』と言っても、返してくれるわけでもないですから……」それだけ言うと、祖母は口をつぐんだ。