「痛い……」と玄関の三和土で倒れたまま顔を押さえ、悲鳴を上げたのは泉ピン子(65)。”大奥様”のまさかの転倒に「大丈夫ですか!」「救急車を!」と慌てて駆け寄ってきたスタッフたちの顔も強張っている。3月下旬とはいえ、まだまだ寒い山形県だったが、ロケ現場の温度はさらに凍てついたようだった…。

’83年から’84年までNHK連続テレビ小説として放映された『おしん』。平均視聴率は62.9%で、いまだにテレビドラマ史上の最高記録を保ち続けている。それから30年、今年2月15日に山形県の庄内映画村で映画『おしん』の撮影がスタートした。ドラマ版では、おしんの母・谷村ふじ役だったピン子だが、今回は、おしんが奉公する酒田の米問屋『加賀屋』の”大奥様”を演じている。

ピン子の『おしん』に対する思い入れは深い。その思いからか、現場では大きな声でスタッフや共演者たちに檄を飛ばし続けたという。総じて共演者やスタッフたちには厳しい彼女だが、そのなかでもひときわ頻繁に「それ全然違うんじゃないの!」「あんた全然、橋田先生の脚本を理解してないね!」と声を荒らげる場面が目撃されたのは、冨樫森監督(53)に対してだった。

そして、”事件”はクランクアップを目前にした3月21日、加賀屋の大奥様とおしんのクライマックスシーンで起こった。この日はピン子の撮影最終日。彼女にとって最大の見せ場であり、それだけに監督とのやりとりもヒートアップしたようだ。「ピン子さんと監督の言い合いはいつも以上に激しく、2人とも一歩も譲らなかった。そのうち激高したピン子さんが『もういいわよ!』と言い残し、現場を立ち去りました……」(現場スタッフ)

怒りで我を失ったピン子は、その直後、建物の玄関の段差でつまずき、声を上げて倒れた。「顔面を床に強打してしまったんです。そんな彼女を見て、スタッフも恐慌状態になりました。撮影現場近くの病院で治療を受けた後、ピン子さんは東京に戻り、都内の病院に入院しました。入院自体は数日ほどだったと聞いています」(前出・現場スタッフ)

この転倒事件について、ピン子は次のようなコメントを寄せた。「ベテラン女優が現場でケガをするなんてお恥ずかしいかぎりです。この件については、そっとしておいてください。私にとって『おしん』は、30年前から特別なドラマでした。いい映画になってほしい、ただそういう気持ちです」

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