「ドラマが大正時代の設定なので、着物に慣れておかないと芝居ができないなぁ、と思ったんです。毎日着ていたら、それはもう、凝っちゃって(笑)」

 そう話すのは、NHKの連続テレビ小説『ごちそうさん』で主人公・め以子(杏)の義姉、和枝を演じるキムラ緑子。強烈な嫁いびりがドラマの人気を押し上げた。

「お膳をひっくり返すなんて、台本を読んで、『あっ!』と声が出ちゃった。和枝を演じるようになってからは、朝目覚めたときにはもう眉間にしわが寄っているんです。おかげでしわが深くなっちゃったのよ、やーね!(笑)」

 ケラケラと笑うその顔は、年中、苦虫顔の和枝とは大違い。とにかく、中年女の濃〜いキャラを演じさせたら絶品だ。自身と重なる部分は?

「ありますよ。私はコンプレックスの塊だから。和枝は真面目で一生懸命なんだけど、ものすごく不器用なんです。私は好きです。でも、私はあんないけずじゃないですよ。(兵庫県の)島生まれだからなのか、すごくのんきで、姉御肌というより、頼りないんです。仕事でも、『絶対、この役を取ってやる!』という競争心や、他人を嫉妬するってことが不思議となくて、それがダメなのよ」(キムラ・以下同)

 ドラマでは、め以子が悠太郎にプロポーズし、2人は結婚へと発展。じつは、キムラも劇作家で脚本家の夫・マキノノゾミ氏に2度プロポーズしている。というのも、一度は離婚したマキノ氏と、’11年に復縁。

「今から思えば震災婚です。東日本大震災後、精神的に不安定になってしまって、そのとき助けてくれたのがマキノでした。ほかにいなかったのかな?って感じですし、しかも1回断られたんです。『今さら籍を入れなくても』って。でも、私の祖母が亡くなった日に無理やり判を押させました(笑)」

 週間平均視聴率が22%を突破。ますます面白くなってきた『ごちそうさん』。今後の見どころを、キムラは次のように語ってくれた。

「め以子は、どんどんきれいになります。杏ちゃんがすごく色っぽくて、もう、うっとり。悠太郎役の東出くんは、あの太い眉毛を上手に動かして、微妙な表現をするのよね。私、彼の芝居に何度も泣かされました。物語は時代も変わりますし、内容はもりだくさん。絶対、飽きさせませんよ!」

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