「羽生(結弦)さんは、帰国してから東京で精密検査を受け、僕は仙台に戻ってきたもので、詳しいことはわからないんですよ」と語るのは、整体師の菊地晃さん(58)。羽生結弦選手(19)とは10年近くにわたる親交がある人物だ。

 グランプリシリーズ第3戦の中国杯の公式練習中に中国選手と激突した羽生。頭部や下顎からの流血も止まらぬなか、激痛に耐え、よろめきながらも、リンク上で果敢に跳ぶ姿は、世界中から賞賛された。競技後は精根尽き果てたのか、涙ぐみ、抱えられるようにして会場を後にした。その彼を支えていたのが、菊地さんだった。羽生の怪我の回復状況を聞くため、事故から5日後の11月13日に菊地さんの元を訪れたが、彼の口は重かった。

「中国杯には羽生さんの依頼で、パーソナルトレーナーとして現地入りしていたので……」

羽生愛用のペンダントはパワーストーンに菊池さんが念を込めたシールを張り付けたもの。このシールも、もともと激痛を和らげるために開発されたものだった。菊地さんはシールの開発秘話について、以前、ブログで次のように明かしている。

《タイに向かう機内で私はこう祈った。「神よ、私は痛みに苦しむ者達を救いたい。神の力をかしてください」》《タイに行き治療用のシールを作った。その時に貴重な体験をすることが出来た。マークが生きていた!本当に生きて動いて見せてくれたんだ》

 11月8日の中国での羽生の奇跡の演技の陰にはそのペンダントの効果と、菊地さんの“気功”があったという。彼は、激痛を緩和する気候の達人でもあるのだ。

《周りと自身のエネルギーを強くして気を高める治療を昨日施してみました。 すると痛みが全く無くなった事は勿論なのですが……》(同ブログ)

フィギュアスケート関係者は「正直、シールや気功の効能については、なんとも言えません。しかし羽生選手にとっては、信頼する菊池氏が見守ってくれたことは、メンタル面で大きな支えになったことは間違いないでしょう」と語る。

 全治2~3週間と診断され現在は通院をしながら治療を続けている羽生。11月28日に開幕するNHK杯への出場もピンチだと報じられているが、菊地さんは「とにかく早く怪我を治してほしい。まずは、仙台に戻ってきて、僕に顔を見せて欲しいですね」と語る。五輪王者の“奇跡の復活”のために、再び一肌脱ぐ決意のようだ――。 

関連カテゴリー:
関連タグ: