「絶望から希望に向かっている被災地でのイベントが風化するようなことがあってはならないですし、大事なのは心の復興です」と壇上で、スピーチしたのは秋吉久美子(60)。

 3月11日、彼女は福島県郡山市で開催された東日本大震災復興イベント『福魂祭』に参加していた。東京都内の病院で、転落死したとみられる秋吉の長男A氏(享年35)の遺体が発見されてから約2か月になる。

福魂祭では福島県産食材で作った豚汁を配る野外ブースがあり、秋吉も笑顔でPR。だが会見では逝去した息子については一言も語らず、本誌がイベント会場でコメントを求めたときも、「お察しください……」と顔を伏せ、絞り出すように語るのみだった。

「Aさんは結婚していましたが、お子さんはいなかったそうです。両親も他界していて、秋吉さんの肉親は埼玉県に住む、2歳年下の妹さんだけになってしまいました。昨年秋には(2番目の夫の)グレンさんとも離婚しましたし、秋吉さんにとっては辛い日々が続いていますね……」(秋吉の知人)

 そんな彼女の心の支えになっているのが、車椅子生活のトイプードル・フランソワーズくん(10歳オス)の存在だという。愛犬について秋吉はスポーツ紙のインタビューで次のように語っている。

《子犬のころ、狩猟犬にかまれて背骨を折り、下半身麻痺で…。排尿も自分ではできないから、しょっちゅう膀胱結石とかで入院するの》

 秋吉の実母が亡くなったのは’06年のことだったが、当時は子犬だったフランソワーズくんが、悲しみを癒してくれていたのだ。福魂祭開催の翌日の12日、郡山市から東京に戻ってきた秋吉は、預けていたフランソワーズくんのもとにまっすぐに駆けつけたという。

「夕方の公園で、後ろ足に車輪を付けたワンちゃんを散歩させている秋吉さんを見ました」(公園の近所に住む女性)

 秋吉が目撃された公園は、長男が非業の死を遂げた病院から車で5分ほどの距離。“あなただけは私を置いて逝かないでね”――。次々に家族を失った秋吉にとって、それは切なる願いだろう。

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