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土壌汚染問題で、移転白紙を前提に話し合いが続く築地市場。ここにきて、移転予定地だった豊洲の地下から「ヒ素が検出された」「シアン化合物まで」と報道が相次ぎ、事態はますます混迷している。

 

じつは、これでダメージを受けているのが豊洲を含む湾岸地区の地価だ。検出された化学物質はごく微量で、普通に暮らすなら問題ないレベル。それなのに“風評被害”での地価下落が起きているのだ。

 

「直近の湾岸エリアの取引事例でも、昨年は坪340万円だったマンションが、豊洲の報道以後は坪300万円ほどになりました。1割以上も下がった計算です」(不動産業者)

 

分譲業者は基礎工事も含め「汚染の影響はない」と説明しているものの、一部の子育て世代から「近所の公園や学校の校庭などは大丈夫なのか」と不安の声が絶えないという。

 

20年の東京五輪開催を控えて、人気急上昇中だったベイエリア。昨年3月に江東区内で完成したタワーマンションも、そんな風評被害の直撃を受けた物件のひとつだ。天体観測ドームや東京湾を一望できるラウンジもある、この最上階の1部屋に住んでいるのは“エビちゃん”こと蛯原友里(37)とRIPSLYMEのILMARI(41)夫妻。

 

「エビちゃんが買ったのは広さ100平米超、1億2千万円という“億ション”です。購入してから半年後には、あっという間に中古価格が1億5千万円まで上がったほどの有料物件でした。でも今は豊洲問題の影響もあって、正直、1億円を切るくらいの値段でしょうね」(前出・不動産業者)

 

ILMARIとの間には、昨年11月に第1子を授かったばかりの新米ママのエビちゃん。“愛の巣”億ションで続くはずだった幸せいっぱいの暮らしを突然襲った、まさに“とばっちり”の地価暴落――。

 

『マンション格差』(講談社現代新書)の著書もある、住宅ジャーナリストの榊淳司さんはこう解説する。

 

「今回の豊洲移転にまつわる風評被害は、“かわいそう”というほかありませんね。マンションに関して言えば、(報道されている土壌汚染は)何の問題もないんですが、そもそもベイエリアが実力以上にブランドイメージで価格が高騰していたため、そのメッキがはがれてしまったという状況です。今すぐ売ったほうが賢明かもしれませんね」

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